メルセデスAMG Cクラス 詳細データテスト 足りないナチュラルさ 動力性能のわりに洗練度は高い
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
多くのひとにとって、スーパーワゴンの魅力は音の大きなエンジンを誇示することだが、ご近所に遠慮せずに済む静かな電動走行にも惹かれるところだ。C63は、このジャンルでは走行時により高い洗練ぶりを見せる部類だ。 113km/hで70dBAという室内騒音は、ノーマルのCクラスに期待する以上で、RS4よりはうるさいが、M4の73dBAよりは静かだ。ワゴンとクーペの洗練性の性格差を考えれば、M3ツーリングもM4よりうるさいということはないだろう。 パフォーマンスの高いポテンシャルと20インチホイールにもかかわらず、乗り心地は上々だ。もちろん、サスペンションをもっともソフトに設定しても硬いのだが、M3よりはリラックスしたもので、高いダンパーを使っていると思わせるフィールはやはりある。完璧にコントロールされ、路面からのシャープな入力もうまく角を丸めてくれる。 AMGパフォーマンスシートは、BMW Mのカーボンシェルを用いたシートほどハードコアではない。それでも横方向のサポートは要求を完全に満たし、それでいて乗り降りを妨げない。ただし、パッドはかなり硬めだ。
購入と維持 ★★★★★☆☆☆☆☆
これだけ先進技術を満載したC63だけに、価格が高くなることは予想できる。ベーシックな価格はセダンが9万7530ポンド(約1834万円)、ワゴンが9万9280ポンド(約1866万円)からで、M3を上回る。とはいえ、メルセデスの通例というべきか、標準装備が非常に充実している。M3ツーリングの標準装備では、内容が及ばない。そうは言っても、4気筒のCクラスに支払うには高すぎる金額だ。 経済性については、10km程度の移動が多ければ良好だろう。しかし、まめに充電せず、常にパワーをセーブせずに使ってしまうと、10km/L台の半ばも難しい。M3より多少いい程度だ。また、英国の税制優遇を見込むには、CO2排出量は多く、EV走行距離は短い。
レイアウト
直4ターボはフロント縦置きで、9速ATとフル可変4WDシステム、リアe-LSDを組み合わせる。電気モーターはリアアクスルに搭載。バッテリーや電力系、2速ギアボックスとともにドライブユニットを構成し、リアデフを駆動する。 この電動システムはプロペラシャフトとも接続されているので、トランスファーケースを介してフロントを含む全輪へ動力を伝達できる。テスト車の前後重量配分は、実測で48:52だった。