【わかるニュース】党勢回復の切り札は〝3度目の都構想〟か
揺れる「維新」 万博は? 国政は?
維新政治が揺れている。地域政党である『大阪維新の会』は吉村洋文大阪府知事(49)を頂点に、大阪市や堺市、東大阪市、枚方市など主要都市の首長を抑え盤石だ。一方で、国政政党『日本維新の会』は、与党が大敗した昨年の衆院選で党勢が後退。正念場となる今夏の参院選は吉村に加え、合流してすぐ共同代表になった前原誠司・元民主党代表(62)と共に戦う。 【わかるニュース】党勢回復の切り札は〝3度目の都構想〟か 2つの『維新』はうまく機能するのか? それとも報道で言われているような国会議員の造反を招く結果となるのか? そもそもなぜ、このような事態となったのか。大阪目線だけでは分からない『維新』の実態に迫る
「都構想」より現実的な「特別市」
常勝 大阪維新 次の一手!? つまずきの始まりは「大阪・関西万博」の不人気ぶりからだった。万博記念公園(吹田市)や花博記念公園鶴見緑地(鶴見区)など、いくらでも交通の便が良い場所があるのに、わざわざ未開の埋立地である夢洲(此花区)を会場に選んだ。電車やバスの交通インフラが超ぜい弱で、大阪市内から「船で来て!」では盛り上がるはずがない。 吉村は国に支援を求めたが腰は重い。それもそのはず、大阪が万博開催に立候補した2017年は自民党に安倍晋三総理、菅義偉官房長官、大阪維新に橋下徹市長、松井一郎知事の蜜月4人だった。しかし、今は誰も責任あるポストに居ない。もともと「夢洲へのIR(カジノを含む統合リゾート)誘致ありき」で始めた万博の成否は、とっくに国民に見透かされている。 こうした中で、汚名返上に『大阪維新』が持ち出してきたのが過去2度、住民投票で否決された「大阪都構想」だった。吉村は前回、「やり切った。自分が政治家の間は再提案しない」と約束していたが、他にアピールできる材料が乏しく〝禁じ手〞へと舵を切った格好だ。 しかし、「都構想」は双刃(もろは)の剣。最初は橋下大阪市長、2度目は松井同市長の代でそれぞれ否決。2人とも責任を取る形で引退を表明することになった。仮に3度目をしくじれば、同様に吉村の進退に関わるかもしれない。 「都構想」は政令市の大阪市を廃止し、4つの特別区に再編するもの。2度の否決の間に神奈川県内では政令市の横浜・川崎・相模原の3市が独立する真逆の「特別市」構想が持ち上がった。県を飛び越え、特別市に国から財源などが直接委譲される計画で、ソウル市(韓国)やパリ市(仏)も同じやり方だ。 『大阪維新』はもともと行政簡素化のため、都道府県を廃止し直接市町村と国がやり取りする「道州制」実現を目標に掲げており矛盾はない。これなら京都市、神戸市を加えた三都連携の「関西経済圏・副首都構想」もスムーズに進むのだが、維新政治はどうしても〝大阪市の解体〞にこだわり続けている。