あらゆる面で発電できる「ペロブスカイト太陽電池」の可能性
皆さんは小学生の時、理科の授業で太陽光パネルを使った実験をしたことがありますか? 私の学校では、ミニ四駆のような玩具の車のモーターにソーラーパネルをつなげ、どうやったらうまく動かせるかという授業がありました。誰かが「何枚もつなげたら速く走るんじゃない?」といい始めて、実際やってみると太陽光パネルの重さでなかなか速度が上がらなかったりと、車好きの子どもとしてはとても楽しかったことを覚えています。 【全画像をみる】あらゆる面で発電できる「ペロブスカイト太陽電池」の可能性 振り返ってみると、現代の電気自動車が抱える、重さと航続距離のバランスを取る縮図だった気がします。
従来のシリコン系のデメリットを解消するペロブスカイト太陽電池
太陽光パネルというと、アウトドア用のポータブル電源などで使われるような、黒くてキラキラ反射する板を想像される方が多いかと思います。一昔前は電卓の一角にあったものが、今ではビルの屋上、砂漠の真ん中、国際宇宙ステーションなど、あらゆるところで見るようになりました。 この板状の太陽光パネルは「シリコン系」と呼ばれ、耐久性と太陽光エネルギーを電力に変える変換効率が高いという特徴があります。一方、耐久性向上のためにガラスやフレームを使用しているため重いことや、折り曲げられない、コストが高いなどのデメリットもあります。また、これらのデメリットにより設置場所が限られるため、設置可能な平面スペースの確保にも課題が残ります。 そこで最近注目されているのが、「ペロブスカイト太陽電池」です。ペロブスカイト太陽電池は軽くて柔軟、かつ低コスト化が見込める上、主原料であるヨウ素は日本が生産量世界2位の資源。しかし、寿命が短い、耐久性が低い、大面積化が難しい、変化効率を向上させる必要があるなど、ペロブスカイト太陽電池はシリコン系太陽電池と正反対のデメリットも抱えています。 しかし、これらのデメリットを改善できれば、これまでシリコン系太陽電池が入り込めなかったスペースをペロブスカイト太陽電池が埋めることができます。そのため、多くの企業が実用化に向けて取り組んでおり、パナソニックホールディングス(以下パナソニック)もその一社です。