【バレー】埼玉上尾メディックス・権田寛奈 強く優しいミドルブロッカー”ゴンちゃん”がコートに立つ理由 SV女子
「皇后杯では攻撃面であまり貢献ができなかった。今日の試合では自分でも良い形でスパイクを決めることができたと思う。反面、ブロックでは手には当ててはいるけれども得点にできなかったり、ミスも多かった。次の試合はそこを頑張りたい」 GAME2、試合後の会見に参加した権田は自身のプレーを振り返って、そう話した。 会見に慣れていないせいか、流暢に受け答えが進むわけではない。しかし、一つひとつ噛み締めるように話す権田の言葉には真摯さがある。 「自分のためにではなく、人のために奮起するタイプなのか?」 かなりストレートな質問であったが、あえてその問いを権田にぶつけてみた。 権田はかなり困惑したであろう。少し考えながら、でも笑みは絶やさずに答えてくれた。 「高校生の時から…試合に出れなかった人たちのために頑張ろうって、そういう気持ちでプレーすることが多かったです。だから誰かのために頑張ろうという気持ちでプレーしています」 権田寛奈、愛称ゴン。彼女がサーブに向かうと、エンドラインから、アリーナサイドから、そしてスタンドから 「ゴンちゃん頑張れ!」 という声援が飛ぶ。 彼女の「誰かのために頑張る」という気持ちは自然と観客にも伝わり、観客が権田のプレーを後押しする。 「今季は自分のためにポジションを取る気持ちになれる?」 最後に権田にそう聞いた。これは記者の質問としては不適切だったと言わざるを得ない。 「はい、頑張ります」 という答えが返ってくることをどこかで期待していたのだ。大久保監督の想いと通じるところがあったとはいえ、フェアな問いではない。 しかし、権田は迷うことなく回答した。 「ライバルを意識しながらも、誰かのために頑張るっていう気持ちをこれからも持ってやっていきたいと思います」
権田寛奈は真っすぐで、少し不器用で、でも芯の強いプレーヤーなのだと実感した。 戦う理由は「誰かのため」。 そう決めたのなら、つまるところそれが彼女の「自分のため」ということになるのであろう。 大久保監督も 「3シーズン見てきたけれども、今季は自立というか自分が欲して試合に出たいという気持ちが以前より感じられる」 と話している。自分の強さを見つけた権田寛奈がコートで更なる存在感を発揮する日は近い。
堀江丈
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