樋口恵子「89歳で乳がんの手術をして。当分再発はないと言われて安心しつつ、我に返って<いつまでも生きちゃったらどうしよう>と」荻原博子×樋口恵子対談
老後の気がかりはあれこれ尽きぬもの。そんななかで「どう機嫌よく生きるか」を説いた新刊『老いの上機嫌』が話題の樋口恵子さん。お金の不安を和らげる発信を続けている荻原博子さんと、人生後半を機嫌よく生きるコツについて語り合いました(構成:篠藤ゆり 撮影:宮崎貢司) 「<体重を減らせば貯金が増える>と気づいて。心身も若返り、確実に家計の助けになります」と話す荻原さん * * * * * * * ◆ちょっとしたことでも気分が上がる 荻原 お久しぶりです。お元気そうですね。 樋口 いえいえ、足腰の〈ヨタヘロ〉も進みまして。先日も、講演の壇上で杖を使わずにヨタヨタヘロヘロ歩いて、会場の皆さんの同情を買ったばかりです(笑)。私なりに〈老い方〉の一例を披露している次第です。 荻原 ずっと現役で活躍なさっているのですから素晴らしい! 樋口 最近は、理事長を務める「高齢社会をよくする女性の会」の活動や「ここぞ」というときにはがんばって外出して、「介護保険の改悪は許さない!」などと気炎を吐いていますけど、一人で出歩くことはしなくなり、ふだんは家にこもりがちです。でも今日は荻原さんにお会いできるのがうれしくて、お化粧をしてアクセサリーなんぞもつけてみました。 荻原 おしゃれは大事ですよね。気分が上がりますから。 樋口 私は91歳ですが、長く生きていると、昔買ったアクセサリーやスカーフがそれなりに溜まるでしょう。どなたかと会うとき、あれにしようか、これをつけようかと考えると、楽しくなります。荻原さんも、鮮やかなピンクのきれ~いなジャケットがよくお似合いだわ。
荻原 明るい色を身につけると、自然とウキウキしてくるんです。そういえばうちの母はいま97歳なんですけれど――。 樋口 どこにお住まいですか? 荻原 長野県の高齢者施設に入所しています。母とは毎日、時間を決めてビデオ通話を通じて話をしているんです。 樋口 それはいいことですねぇ。 荻原 そのとき、母は必ずおしゃれをしてパソコンの前に座るんですよ。「お母さん、口紅つけてる?」と聞くと、「ちょっとね」という感じで。 樋口 やっぱり「出の衣装」は大事ですね。 荻原 出の衣装! いい表現ですね。母はもともとおしゃれだったから、身だしなみを整えて口紅をつけて人と話すのが楽しみのようです。 樋口 それがお母さまの、ご機嫌の秘訣なんでしょうね。 荻原 そうだと思います。 樋口 私は89歳のとき、乳がんの手術をしまして。当分再発はないだろうと言われて安心しましたが、我に返って「いつまでも生きちゃったらどうしよう」と――。 荻原 回復されてよかったです。長生きは、いいことじゃないですか! せっかく生まれてきたのだから、私は100年といわず、いつまでも生きたいと思っています。 樋口 さすがのバイタリティですね。でも、私の老いの実感からするとヨタヘロで足元もおぼつかないし、この先のお金のことも心配。友人知人が次第に去っていくし、寂しくないといえば嘘になります。 荻原 まぁ、樋口さんらしくもない! 樋口 やっぱり、実際にその年齢にならないとわからないことがあるものだ、と最近は謙虚になりました。でも、だからこそみなさんに、「楽しげに生きよう」と発破をかけているんです。意識して口角を上げて、日々の暮らしのなかで小さな喜びを見つけるようにしていると、自然と機嫌がよくなります。これは、最近の発見です。 荻原 「楽しげに生きる」。素敵な言葉ですね。
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