オリンピアン・高橋大輔さんの愛車選びとは?
ドイツとイギリスの違い
続いて高橋さんがチェックしたのが、ポルシェ「カイエン」のPHEV(プラグイン・ハイブリッド)。 「ポルシェは、SUVにしろスポーツカーにしろ、フォルムがすごく好きです。基本的には角張った、四角いクルマが好きですが、なぜかポルシェだけは丸みを帯びたラインに惹かれます」 高橋さんはプラグイン・ハイブリッドの仕組みに興味津々の様子で、電気自動車として静かに走ることもできれば、ハイブリッド車として充電を気にせずに走ることもできるという説明に深くうなずいた。 「ものすごく格好いいですが、格好よすぎるかもしれませんね。贅沢な悩みかもしれませんが。ポルシェを所有するとしたら、たとえばエスカレードやレクサスLXのような四角くて大きなSUVと、『ボクスター』の組み合わせもアリかもしれません。もっとも、2台所有するのには、相当仕事を頑張らないといけませんが(笑)」 最後に登場したのが、レンジローバー。このクルマを見た瞬間に、高橋さんの表情がパッと輝いた。 「デカさとエレガントな雰囲気が両立しているあたりが、すごいですね」 運転席に乗り込んだ高橋さんは、インテリアを見渡して一瞬、言葉を失った。 「……このレザーの感じ、スゴイですね。華やかなのに上品というか、手触りもすごく滑らかだし、ちょっと圧倒されました」 ローズウッドカラーのレザーをはじめとするインテリアは61万5000円のオプションだと告げると、高橋さんは「ひゃーっ!」と、驚きの声をあげた。でも大丈夫、標準装備の仕様でもレンジローバーのレザーは充分以上にクオリティが高い。 「レザーはイギリス車の伝統という感じがしますけれど、インテリアのデザイン自体はシンプルで、すごくモダンですね。僕は家電製品とか、絶対に新しいものを選びますが、このインテリアはすごく新しい感じがします。ちょっと、走らせてみてもいいですか?」 高橋さんの運転で、レンジローバーは粛々と加速する。 「走り出しが滑らかな感じ、これはすごいですね。ブレーキのフィーリングもいい感じで、これなら大事な人を乗せても安心です」 目前にちょっとしたコーナーが迫ってきて、高橋さんはフィギュアスケートの演技とおなじように、繊細なハンドルさばきでクリアする。 「背が高いのに、全然不安感がありません。急なカーブを走っているとは思えないほど、レンジローバーはすごく安定しています。なんだか、運転していてとても気持ちがいいですね」 試乗車は、ビスポークや高性能仕様などを手がけるSVO(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)が仕立てたSVなので少し値段が張るけれど、価格帯が下のモデルもあることを伝える。すると高橋さんは、ディーゼルとガソリンがどのように違うかを、入念にリサーチした。 そして最後に、「クルマ選びの幅がすごく広がって、楽しい一日でした!」と。満面の笑みを浮かべた。 高橋さんの次の愛車が決まったら、ぜひもう一度取材を依頼したい。
【プロフィール】高橋大輔(たかはしだいすけ)
86年、岡山県生まれ。02年世界ジュニア選手権優勝。10年バンクーバー五輪銅メダル、世界選手権優勝。12年グランプリファイナル優勝(以上、すべて日本人男子初)。06年トリノ五輪、10年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪の3大会連続日本代表。男子シングル、アイスダンスの2つの競技で世界選手権に出場し、23年引退。現在はプロスケーターとしてパフォーマンスをしつつ、アイスショー「滑走屋」のプロデュースなどを手掛ける。 文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・宇田川恵司(heliotrope) スタイリング・折原美奈子 編集・稲垣邦康(GQ)