47歳のママ友に「更年期の準備」を質問されたので、いまから5年に「起きそうなこと」を53歳の私が考えてみた
職場の上司や同僚に対しても「更年期は終わると伝えていく」努力を始めてほしい
職場にも「不意の体調不良での欠勤が起きるかもしれない」ことを根回しできるといいと思います。面談の機会があれば根気よく上長に伝えてください。あまり前例のない職場ならば「更年期症状はおよそ3年、遅くとも5年で収まり、元の体調に戻る」「悪化するようならば治療が可能」など、ポジティブな見通しも伝えてください。 「汗を急にかくことがありますが、止まりますので、また汗だなとスルーしてください」 「めまいが起きてちょっとぼーっとしている場合がありますが、危険があったら声に出して救援を求めますから大丈夫です。目をつぶっていたらめまいだなとスルーしてください」 などなど。 あまりに話の通じない職場であれば、いっそ40代のうちに異動や転職を考えてもいいのかもしれません。最悪なのはすでに更年期を通過した管理職女性が「更年期なんて甘ったれたこと言わないの、私は休まなかったわ」と発言するケースです。私は近いことをやられました。弊社は大正時代から女性に寄り添ってきた「主婦の友社」であり、それでもやられると考えると「大抵はやられると思っておいたほうがいい」。昨今は男性でもコンプラ上理解を示すことが格段に増えましたが、自分が無症状だった幸運を自覚しなかった女性の意識は残念ながら変わる可能性が低いと思います。なぜなら、その頑迷さも更年期症状のひとつだからです。 女性の多い職場の場合、あなたが更年期世代であれば、それなりにモノを申せる立場である可能性もあります。ぜひ日ごろから意識的に調子の悪い人をカバーして「お互いさま」のムードを作ってください。調子を崩したときに助けあう相互扶助のムードを作り出すのは有効です。少なくとも、ギスギスな環境がメンタルにいい影響を及ぼすことはひとつもないので、今のうちから自力で変えていってください。同僚は思ったよりもはるかにあなたを助けてくれます。 こうした環境整備は私たちベテランの、ある意味での義務と言えます。後輩に託す環境はよりよく整えるべきですから、周囲に自己開示をして、自分の状態がどうであるかをできる限り伝えてください。これはもう後輩のための義務です。「隠した」ケースで職場との関係が良好に推移することはまずありません。「さぼっているのではなく、身体がしんどいのだ、やる気自体はあるが、いまはちょっと難しいのだ」と前向きに伝えることは思っているより重要です。周囲は不調そのものではなく「何も理由を言わずに黙って倒れる」「やたらパフォーマンスが低くなってるのに何も原因を言わない」ことに疑心暗鬼になるのです。法的には休暇は理由を言わず取得していいのですが、やっぱり「ごめん!」「私いま症状が強くて!どうしても今だけ許して!」の一言があったほうが円滑なのです。 サプリメントよりも投薬よりも(どっちもあったほうがいいけれど)、周囲の助けをうまい具合に借りて、無理なく過ごす環境を少しずつ作っていくのが「更年期の入口」では大切だと思います。サプリはいざとなってから買えば間に合うけれど、こうした環境整備は信頼関係の上に築かれるので時間がかかるのです。なお、このほか自分自身のための努力はお話の最後にまとめます。 以上、正規雇用前提の言説になってしまった点はごめんなさい。雇用条件による働き方の問題に私はまだ結論を出せておらず、ここはいずれ整理します。つづく後編では「では実際何をすればいいか」について長々とお話します。
オトナサローネ編集部 井一美穂