政治とカネ・裏金問題とは? 収支報告書に不記載、真相は闇
「政治とカネ」の事件が後を絶たない中、政治改革が衆院選の争点になっています。既得権に切り込む政治改革には後ろ向きな政治家が多く、有権者からの圧力なしには実現しません。一般の人にはなじみが薄く、分かりにくい問題ですが、一人でも多く関心を持ってもらえるよう、テーマごとに整理して伝えていきます。初回は自民党派閥の裏金事件を考えます。 年表で学ぶ裏金問題 Q どんな事件ですか。 A 舞台になったのは自民党派閥の政治資金パーティーです。パーティー券は通常1枚2万円程度で販売され、企業などが購入しています。経費を抑えられる軽食形式が多く、経費を差し引いた収益が派閥側の政治資金となる仕組みです。 券の販売を担うのは派閥に所属する国会議員。それぞれにノルマがあり、それを超えて売った分の収入は派閥からキックバック(還流)されていました。還流するのは法的に問題ないですが、派閥側と議員側の双方が政治資金収支報告書に記載していませんでした。不記載額は、旧安倍派など3派閥で計17億円に上りました。 Q 収支報告書って? A 政治資金は原則として政治団体を通じて授受し、国民に開示すると政治資金規正法に定められています。このため政治団体は毎年、政治資金の収入と支出をまとめた収支報告書を総務省や都道府県選管に提出する義務があります。政治資金の流れを公開することで不正を抑制し、政治を良くする狙いです。 Q ではなぜ自民党の派閥や議員は収支報告書に書かなかったの? A 裏金をつくるためです。党の調査によると、飲食費や車の購入費に充てたと説明した議員もいたようです。 Q 違法なのでは。 A 政治資金規正法違反罪に当たります。2月の自民党の調査では現職議員82人の不記載が判明しましたが、検察は不記載額が突出する一部の議員のみを立件し、大半の議員を罪に問いませんでした。 Q 議員の受け止めは。 A 「派閥の意向に逆らえずに受け取った」「秘書がやったこと。自分は知らなかった」などと釈明し、責任転嫁をするような発言が目立ちました。大半の議員が国会など公の場での説明を拒んでいます。政界の金権体質とともに、自浄能力のなさがあらためて鮮明になりました。「時間がたてば、どうせ国民は忘れる」と沈静化を待つような姿勢も見え隠れします。 ―石破政権の姿勢は。 世論の批判を受けて衆院選で裏金議員の一部を非公認にしましたが、事件の再調査には後ろ向きです。裏金づくりがいつごろから始まり、どんなことに使われてきたのか。事件の真相はいまだに闇に包まれています。
中国新聞社