赤ちゃんの「思いやりの心」を育てるための話し方と目の合わせ方
ポイントはだっこの仕方と声のトーン
【解説】 まず、配点が10点のスキルから見ていきましょう。 図①がヒントです。だっこの仕方です。 このイラストのお父さんは赤ちゃんを《優しくだっこ》しています。具体的に表現するなら《包み込むようなだっこ》です。「だく=腕で包む」ですから文字どおりです。 それができていれば「10点」です。 授業では、「審査役の生徒から見て《まあいいかな》と思えたら10点にしてあげてください」と言っています。 採点基準の2つ目は「マザリーズ」を使ったかどうかです。マザリーズというのは、赤ちゃんや幼児に話しかける時に、普段よりも少し高めの声で抑揚(イントネーション)をつけて話す話し方のことです。(図②のA)
「お花、咲いてるねえ」と言う時に、少し語尾のトーンを上げて言いませんでしたか?低い声で、語尾のトーンを下げて言う人(図2のB)は滅多にいないはずです。 《マザリーズを使っていたな》と思えたら30点です。1人でやっている場合は、確認しながらもう一度言ってみてください。 ちなみに、マザリーズは乳幼児の注意をひきつけ、集中を維持させる効果があることが多くの研究結果から明らかにされています。(※1) 採点基準の3つ目と4つ目は、ほぼ同時に行う行為です。 高校生では、ここでポイントを獲得できない生徒が半数近くいます。 逆にいうと、約半数の生徒は意識しているかどうかはわかりませんが、このスキルを身につけています。
赤ちゃんと目を合わせた後の目の動きが重要
果たして、読者の皆さんは意識できているでしょうか? 答えがわかるという方は、そのスキルを意識的に使いこなせています。 ちなみに、このスキル((3)と(4))は、英語で「ジョイントアテンション」と言います。日本語では「共同注視」です。「注視」とは「見つめる」という意味です。 つまり、共同注視(ジョイントアテンション)とは、お互いに(この場合は親子で)同じものを見つめるというスキルです。具体的には、次の2つの行為が必要になります。 (3)赤ちゃんと目を合わせる (4)お花に視線を送る 「お花、咲いてるねえ」と言う時に、(3)ができる高校生は結構います。 しかし、(4)も付け加えるとなると、その人数は減ります。 もし、どちらか一方でも行われていたら配点していいことにしていますが、本来は(3)と(4)の両方があって共同注視が成り立ちます。なぜなら、赤ちゃんはまだ言葉を理解できないからです。 「お花、咲いてるねえ」という言葉は、《あそこにお花が咲いてるから見てごらん》という意味です。0歳の赤ちゃんが言葉だけでこの意味を理解することは困難です。ですから、その意味(意図)を伝えるために共同注視というスキルを使います。