走りとデザインで80年代の若者を魅了 初代CR-Vはホンダの名車
1983年のホンダは新車ラッシュ
1983年のホンダは、7月に初代CR-Xを登場させた3か月後に3代目シビック(通称ワンダーシビック)、シビックシャトル、2代目バラードをデビューさせた。つまり初代CR-Xはコンポーネントを共用する本家バラードよりも先に登場したのだ。 これだけにとどまらず、1981年登場以来ホンダの屋台骨を支えるモデルとなった初代シティの最強バージョン、シティターボIIを登城させている。 当時のホンダの規模から考えると物凄い新車ラッシュだったと言える。
サイズは現在の軽自動車並み
初代CR-Xのボディサイズは全長3675×全幅1625×全高1290mm。今のコンパクトカーと比べると圧倒的に小さい!!特に3675mmのショートボディは現在の軽自動車規格が3400mm以下だから軽自動車とあまり変わらないレベル。 そして特筆は2200mmの超ショートホイールベースだ。すでに生産終了となっているが、ホンダS660のホイールベースが2285mmだから、初代CR-Xのホイールベースがいかに短いかがわかるだろう。この超ショートホイールベースが初代CR-Xのキビキビとしたハンドリングを生む要因のひとつになっていた。
斬新なデザイン
初代CR-Xはデザインでも話題になった。特にリアエンドをスパッと切り落としたデザインはスポーティ。イタリア語でコーダトロンカと呼ばれるデザインで、リアから見た時が最もカッコいい。 フロントマスクで特徴的だったのはセミリトラクタブルヘッドライト。ちなみに初代CR-X、2代目バラードはこのセミリトラクタブルを採用していたが、シビック系には採用せず差別化されていた。 このセミリトラクタブルヘッドライトは、ヘッドライト自体は固定されていて、カバーのみが動くタイプ。カバーを競り上げたところで何も印象が変わらないシロモノだったが、このセミリトラクタブルヘッドライトがある時を境に話題となるのだ。これについては後述する。
2人のための優れた空間
ショートボディに超ショートホイールベースの初代CR-Xの乗車定員は2+2の4名だったが、リアシートは小さな子どもなら問題ないがあくまでもエマージェンシー用または荷物を置くためのスペースと言った感じ。大学時代に友人の所有する初代CR-Xのリアシートによく乗せてもらっていたが、ドライブ中は苦行と呼ぶにふさわしい居住性だった。当時座敷牢と呼んでいたくらい厳しいものだった。学生じゃなきゃ乗ることはなかったと思う。 初代CR-Xのキャッチフレーズは『デュエット・クルーザー』。つまりホンダとしては4人が乗ることなんて考えてないわけだ。4人が快適にドライブしたければ、バラードなりシビックをどうぞ、という割り切ったスタンス。2人が快適に過ごせる空間に特化したことで運転席、助手席の空間は広々としていた。