承認欲求に振り回される女たち… ドロドロの人間関係を描いた“マウンティング”漫画4選【書評】
夫と子どもの3人で暮らす主婦のまどなは、子どもが通う保育園でマウンティングママ友の円城寺サキと出会う。サキはお金持ちの夫と結婚し、かわいい子どもにも恵まれたことが何よりの自慢だった。しかし誰彼かまわずマウントを取るうえ妄想癖も強く、見栄っ張りな性格が仇となって全てを失うことになる――。 サキのエピソードはどれも強烈なものばかりだが、原因の一端は彼女の性格に起因している印象。程度の差はあれど、サキのような女性は案外近くにいるのかもしれない。
今日もワタシが一番カワイイ 残念マウント女子MAYU
マウンティングばかりしている女性の共通点は、承認欲求の塊だということ。周囲の人間からすれば不愉快で迷惑な存在だろう。『今日もワタシが一番カワイイ 残念マウント女子MAYU』の主人公・桑野真由香も、そんな厄介極まりない女性だ。
真由香は社内で自分が一番かわいいと思っているし、誰よりもモテると思っていた。そんなある日、雪平まゆが育休から復帰。真由香は雪平の仕事ぶりや対人スキルを見て「ウザい」と思いつつもライバル視する。雪平の仕事を邪魔しながら、自分の地位を下げないための“努力”を続けていくのだった。 雪平を貶めるための努力も虚しく、真由香は自分自身の不倫によってその地位を落とすことになる。しかし物語はそこで終わらない。どんなことがあっても彼女の自尊心が折れることはなく、どんな環境でも強く生きていく。もしかすると、同作を読んでいるうちに真由香のことが好きになってしまうかも?
九州から念願の東京転勤が叶い、憧れだったタワマン低層階の部屋を購入した渕上家。専業主婦の渕上舞は東京の生活に馴染めずにいたが、小学5年生の息子・悠真が野球チームに入ったことにより、同じタワマンに住むママ友を得る。サバサバ系バリキャリウーマンの瀧本香織(中層階在住)とボスママ的存在のエリート駐在妻・堀恵(高層階在住)の2人だ。しかし悠真が入団してすぐにエースに抜擢されたことで、徐々に不協和音が生じることに――。 タワマンに住む子ども同士が「お前なんて安い低層階に住んでるくせにっ!」とケンカしたり、妻が夫の職業でマウントを取ったり……。同作を読めば、本当に大切なことは何なのか深く考えさせられることになるだろう。 他人を意識しすぎるあまり、マウンティングを取ったり、他人を貶めたりして、結果的に自らを追い込んでしまう人々の物語。人の振り見て我が振り直せの精神で、ぜひともチェックしてみてほしい。 文=ハララ書房