現役裁判官が地域手当めぐり国を提訴、弁護士の8割が評価<アンケート>
裁判官も含めた国家公務員に適用される地域手当によって実質的に報酬が減っているのは「違憲だ」などとして、現役裁判官である津地裁の竹内浩史判事が7月、国を相手に提訴しました。 地域手当は赴任地により支給額に差があり、もっとも高い東京23区では月給の20%が支給されますが、支給がない地域もあります。また、前任地の一定割合が支給される「異動保障」もありますが、期間は異動後2年間に限られます。 竹内判事は大阪高裁(16%)→名古屋高裁(15%)→津地裁(6%)と転勤し、現在4年目のため異動保障は終わっています。この間昇給がなかったため、過去3年間で報酬が計約240万円減ったと主張しています。 弁護士ドットコムでは、会員弁護士に、裁判官の地域手当について支給額の妥当性や意見を尋ねるアンケートを実施し、281人から回答が寄せられました(実施期間:7月14日~18日)。 竹内判事の提訴について、「どの裁判官も思っていたけど言えなかったことを、弁護士任官の裁判官が訴訟で世に問題提起をした意義は非常に大きい」などと、弁護士の8割が評価していました。 また、地域手当の支給額については半数近くが「不当」「やや不当」と回答し、元裁判官からは「異動が差別人事に利用され、組織内での評価を気にして裁判官の判断が歪む」「転勤が退職の原因になった若い裁判官を何人もみている」という声があり、悩みや不安を抱える人の姿が浮かびました。
●地域手当の金額設定、弁護士の半数近くが「不当」
裁判官の地域手当について、(A)地域手当を設けることの是非と(B)現状の地域手当の金額の妥当性を尋ねました。 (A)地域手当を設けることについては「妥当」「やや妥当」が52.7%と過半数を超え、「不当」「やや不当」の23.9%を上回りました。
一方、(B)現状の金額については「妥当」「やや妥当」の26.7%に対し、「不当」「やや不当」が43.0%で逆転する結果となりました。 弁護士の多数は、裁判官の地域手当自体には肯定的であるものの、現状の金額設定には問題があると考えていることが分かります。