現役裁判官が地域手当めぐり国を提訴、弁護士の8割が評価<アンケート>
●「不当」の理由、最多は「裁判官の判断がゆがむから」
裁判官の地域手当について問題があると感じる弁護士に対し、その理由を複数回答で尋ねました。最多は「裁判官の判断がゆがむから」で45.4%でした。人事評価を気にして、裁判官が裁判所組織の意向に沿った判断をしてしまうことを懸念している様子がうかがえます。 続いて多かったのが「全国均一の司法が実現できなくなるから」で41.5%でした。組織にとって都合の良い裁判官が地域手当の高い勤務地に配属されるなどして、裁判官の能力に地域差が出ているのではないかと危惧している弁護士が多いようです。 以下、「金額の算定方法に問題があるから」(36.9%)、「同一労働同一賃金に反するから」(35.4%)、「民間や地方公務員の賃金格差の固定化、採用に影響するから」(14.6%)、「その他」(7.7%)と続きました。
●元裁判官の弁護士「転勤配置が裁判官統制の一番有力な手段となっている」
裁判官の転勤制度について自由にコメントしてもらったところ、元裁判官の弁護士からは次のような意見がありました。 【裁判官の判断がゆがむ】 ・転勤配置が裁判官統制の一番有力な手段となっている。判事任官研修の時に人事課長が「家を買った以上は一つ拠点ができるから、単身赴任をする際の負担が半減するし、辞めることもできないから単身赴任をさせる条件がそろう」と話したことが忘れられない ・異動が差別人事に利用されている。組織内での評価を気にして、裁判官の判断が歪む。優遇される裁判官は、東京中心に転勤して、ずっと高額の地域手当を得、差別される裁判官は、ずっと地域手当がほとんどないまま転勤する 【転勤や地方勤務の負担が大きい】 ・転勤は家族に多大な影響を与え、退職の原因になった若い裁判官を何人もみている ・地方の方が都会よりも生活費、文化的費用、子の大学費用等が必要なのであるから、むしろ僻地手当を出すべき 【嫌なら転勤を拒否するべき】 ・子どもに「ふるさと」を持たせるため、(裁判官は原則意思に反して転所等されないとする裁判所法48条を行使して)約10年間転所をともなう転勤に同意しなかった。個々の裁判官が自身にメリットがあれば転勤に同意すればよいだけ