<道交法改正>自転車の安全講習義務付けってどういうこと?
今年10月、兵庫県の井戸敏三県知事が自転車の購入者に保険の加入を義務づける条例案を表明しました。その背景には、死亡事故も含め、自転車による交通事故が社会問題になっているからです。国も道路交通法を改正し、自転車の安全対策に本腰を入れ出しました。
来年6月から改正道交法が施行
昨今、過失事故を起こした自転車運転車に対して高額な賠償金を命じる判決が出るなど、自転車事故が社会問題になっています。自転車の運転には免許が必要ありません。誰でも乗ることができます。自転車の運転には技術的な能力はあまり問われません。それだけに、運転者の心構えが安全を大きく左右します。 警察庁も自転車の安全対策に本腰を入れ始めました。昨年6月に道路交通法が改正され、2015年6月に施行されます。同法の改正では、「悪質な自転車の運転者への安全講習の義務化」などが新たに盛り込まれました。これは自転車事故が毎年約13万件も起きているにも関わらず、あまり減少する兆候がないからです。
無灯火、信号無視、酒酔い運転など対象
自転車の安全利用促進委員会委員の古倉宗治氏(三井住友トラスト基礎研究所研究理事)は、この道交法改正の意義についてこう言います。 「警察官は悪質な自転車運転者に対しては指導警告票を交付するのですが、2011年にはこの指導警告書は約220万件も交付されながら、違反者の検挙件数は年3956件とわずかでしかありません。安全講習の義務化は、繰り返し注意を受けた自転車運転者の交通マナーを改善させて、事故減少につなげようという取り組みでしょう」 自転車運転者のルール違反の一例には、無灯火運転や信号無視、歩行者道路における徐行運転違反、二人乗り運転、酒酔い運転などがあります。最近増えているのは、スマートフォンを操作しながらの自転車運転です。海外では、無灯火や酒酔い等の行為は危険行為として取り締まりが強化されています。 「私が調査したところ、日本は先進国の中では自転車利用者の死亡事故の人数がもっとも多い国です。自転車の交通違反を軽く考える人は多いのですが、日本の自転車環境はかなり危険だと言えます」(古倉氏)