<道交法改正>自転車の安全講習義務付けってどういうこと?
交通違反を繰り返すと受講命令
改正道路法では、違反者に安全講習を課すことになりました。そうはいっても、自転車には法的に交付されている運転免許がありません。警察は自転車運転者の違反をどのように把握するのでしょうか? 「自転車の交通違反者を検挙した警察は調書を作成し、住所や氏名が登録されることになり、繰り返すと公安委員会から受講命令が通知されることとなると考えられます。3年間に2回検挙されるとこの通知が来ると報じられています。また、全教習は3時間とされていますが、再発防止のために有効な内容や方法が検討されています」(古倉氏) 交通ルールを守るのは当然ですが、自転車に乗っていると知らず知らずのうちにこうした違反をしてしまいがちです。自転車だから、ちょっとくらいはいいだろうという甘い気持ちが、重大な事故につながります。
荒川区は“自転車免許”制度
自転車運転について、これまでも小中学校や地方自治体などでは交通安全教室を開催していますし、東京都荒川区は2002年に“自転車免許”制度をスタートさせています。荒川区の自転車免許制度に法的拘束力はありませんが、免許制度創設の背景には交通安全の啓発や安全意識の向上があるようです。その後、荒川区に類似した自転車免許制度はほかの市町村でも導入されています。 「現在、小中学高校生を中心に自転車の講習会が実施されており、2011年には全国で353万人が受講しています。東京都武蔵野市などでは、講習を受講すると駐輪場の優先受付といった一定のインセンティブが受けられることもあります。欧米では、自転車利用者が増えれば増えるほど、事故率が減少したというデータもあります。これらに積極的に参加して、自転車の使い方を学ぶとともに、交通安全の意識を高めてほしいと思います」(古倉氏) ちょっとしたお出かけや買い物で使う自転車。最近では自宅から会社まで自転車で通勤するツーキニストも増えています。手軽で便利な乗り物ですが、使い方によっては他人を死亡させてしまう凶器にもなります。道交法改正は自転車との付き合い方を再考する機会だと言えるでしょう。 (小川裕夫=ライター)