日本初のタワマンに住む70代は「一生モノの買い物と思ったのに…」。各地で“老朽化”が進むタワマンに住民が悲鳴
日本初のタワマン与野ハウスの現状
日本のタワマン第1号は、1976年に完成した埼玉県にある「与野ハウス」。築48年で現在は4回目の大規模修繕工事中だ。 修繕費について管理会社に問い合わせると、「今回の大規模修繕費は総額5億8000万円。残額は3100万円になる見込み」だという。 現状、修繕積立金の値上げの予定はないらしいが、70代の住民に話を聞くと、不安な声を漏らした。 「修繕費値上がりの噂は絶えないし、建て直しの話まである。一生モノの買い物と思ったのに、立ち退きも懸念しています。管理業務はやってくれているけど、手入れが行き届いているとは言えません」 住民に案内されて敷地に入ると、日本庭園の庭木は十分な剪定がされておらず、中庭にある池もコケで濁っている。エントランスのガラス扉は大きなヒビが入っていた。 建物の老朽化は必然だ。ステータスの象徴というタワマン神話の崩壊も近い。
なぜタワマンの修繕費は高額なのか?
タワマンは通常のマンションよりも修繕工事が困難になる2つの理由があるという。マンションコンサルタントの別所毅謙氏が解説する。 「審美的な外観や複雑な構造のタワマンだと、屋上から吊すゴンドラを特注する必要があり、コストが増える。また、風雨が強いと高所作業がストップし、工期が延びてしまう。タワマンならではの厳しい条件や事情があるのです」
高すぎる修繕費は水増しだらけ?
別所氏にタワマンの大規模修繕費のモデルケースを示してもらったのがこちらだ。 外壁工事……………30億円 給排水管更新工事…20億円 エレベーター交換…15億円 インターホン更新…3億円 自動ドア更新………1億円 その他共有部など…1億円 合計…………………約70億円 ※築30年/40階建て/1000戸/2回目の大規模修繕費を想定 いかに高額になるかが一目瞭然だが、別所氏は「こういった概算も、実際には安くできる可能性が高い」と話す。 「管理組合が修繕をする会社に見積もりを依頼すると、専門用語だらけの高額な工事見積書になるでしょう。相場がわからなければ適正価格か判別するのは困難です。実際、工費が高くなりやすいことをいいことに、予算を水増ししやすいという実情があるんです。マンションデベロッパー、管理会社、設計会社、工事会社などすべてが談合して管理組合から根こそぎ修繕費を引っ張ろうとすることは何も珍しい話ではありません」 実際に相見積もりを取ると60%増しされていたことが判明したこともあったという。