日本初のタワマンに住む70代は「一生モノの買い物と思ったのに…」。各地で“老朽化”が進むタワマンに住民が悲鳴
庶民から羨望の眼差しを向けられてきたタワーマンション。そんな金殿玉楼も寄る年波には勝てず、老朽化によりメッキが剝げてきている。ステータスの象徴から、栄枯盛衰の象徴になるか……。住民だけでなく、国民全体を巻き込む最悪の事態に発展しかねない「タワマンの未来」に迫った。 ⇒【写真】日本初のタワマン「与野ハウス」エントランスのガラス扉にはヒビが入っており、テープで応急処置がされていた
老いるタワマンに阿鼻叫喚の住民たち
老朽化したタワーマンション(以下タワマン)が、増加している。一般的に最高階数が20階以上のマンションを指すタワマンは、1997年の建築基準法改正を機に次々と生まれている。 今年5月の日本経済新聞の報道によると、全国1795棟のうち、築30年以上は177棟(約6万戸)と全体の1割を占めるという。忍び寄るタワマンの“老い”に住民たちも不安を隠せない。 「’16年の熊本地震で被災した際、免震構造なので揺れは感じませんでしたが、部屋の角の壁紙がバリバリと裂け、恐ろしかった。また、海に面しているため、潮風による劣化や大型野鳥の死骸・糞による汚れも激しい。まだ、入居してから一度も大規模修繕が行われておらず、このまま劣化が進むと将来どうなるのか、不安です」(Aさん・51歳・会社経営・築17年物件所有)
大規模修繕を機に毎月の積立金が増額
老いをカバーするため、修繕費の負担が住民に重くのしかかる。国交省のデータによると、タワマンの修繕費は通常のマンションの1.3倍。規模が大きくなればなるほど、額も膨らんでいく。 「入居当初の修繕積立金は月8500円だったのに、大規模修繕を機に3回値上がりし、現在は2万4000円。やむをえず定年延長しましたが、収入は激減。ローン完済で安心していたのに、まさか修繕費が上がるなんて。マンションは子供に相続する予定ですが、将来、資産どころか負債になってしまわないかと心配しています」(Bさん・60歳・公務員・築24年物件所有) 戸数の多さゆえに合意形成が難航しやすいのもネックだ。 「ウチは約1000戸あって、管理組合の理事になってみると、物事を決めるのが大変でした。修繕するにも、安く抑えようとしたら、資産価値を高めるために、グレードの高い修繕を希望する人もいて、意見が分かれた」(Cさん・52歳・会社員・築18年物件所有)