【単独】入場者数“爆増”のBリーグ、島田チェアマンに聞く「最高の顧客体験」の秘密
スマホファーストが「女性や若者」のファン獲得に
その3点と同時に、顧客体験を高める施策の1つとして、Bリーグは当初から「スマホファースト」「デジタルファースト」を標榜してきた。プロスポーツの多くは「チケット販売」「中継放送」「スポンサー」「グッズ」が収入源となっている。Bリーグではこれらをスマホで完結する、という考え方で取り組んでいる。 たとえば、Webサイト直販による電子チケット制の導入や、インターネットでの試合のライブ中継など、その取り組みは「若い世代へのリーチ」「女性客へのリーチ」という点で着実に実を結びつつある。 「もともとバスケットボールの競技人口は、野球やサッカーといった他の競技に比べ、男女で差が少ないのが特徴です。バスケの競技人口は約60万人。女性の競技人口は約半分を占めており、サッカーや野球に比べて圧倒的に多いです」(島田氏) こうした競技特性も相まって、Bリーグは女性の来場者が多くを占める。Bリーグのデータによれば、男女比はそれぞれ、45.5%、53.2%、その他が1.3%だ。最近では、家族連れの女性ファンが目立っていると島田氏は話す。 「会場であるアリーナの雰囲気が平和で、かつ雨風に濡れることがありません。かつてバスケットボールを競技した経験を持ち、関心の高い女性層が、近くにプロリーグのクラブができたことを契機に、子どもを連れて観戦し、その子どもが小学校でミニバスケットを始めるケースも増えてきました。また、バスケットボールを観戦したいという潜在層は若い世代を中心に多くいます」(島田氏) では、「マーケティングの推進」という点ではどうだろうか。
チケット販売のカギは「一元管理」と「スマホファースト」
マーケティング推進に関するBリーグと各クラブの関係について、島田氏は「クラブをいかにサポートするか、というのがBリーグの基本的なスタンスです」とした上で、「シーズンオフの期間は、ファンが離れやすいタイミングとなります。そのタイミングを含め、Bリーグとしては、各クラブのCRM(顧客関係管理)の仕組みに投資したり、クラブの集客の好事例やスポンサーセールスの好事例を知見として共有したり、システム、メソッド両面で各チームを支援するといった役割を担っています」と話した。 チケット販売では、Webサイト直販による電子チケット制を導入している。Bリーグが各クラブの試合のチケットを統括して販売しており、ファンはスマホを通して、どのクラブの試合でも同じWebサイトでチケットを購入することができる。 このメリットについて、島田氏は、「リーグがチケット販売の仕組みを提供することで、チームにとっては、自前でチケットシステムに投資しなくて良くなる点がメリットとしてあります」と話す。 さらに、チケット販売データをリーグで一元管理することができるため、「各チームのチケット戦略に関わるデータ、たとえばどういう売り方をしたらどのぐらい売れるかという知見も集まります。そうしたナレッジやノウハウを各チームに共有することができます」ということだ。