台湾の頼清徳総統「防衛力強化と予算増額が必要」 中国の脅威を念頭に新年談話
【台北=西見由章】台湾の頼清徳総統は1日、台北の総統府で就任後初めての新年談話を発表し、台湾統一を掲げる中国の軍事的脅威を念頭に「台湾海峡の平和と安定は世界の安全と繁栄に必要な要素だ」として継続的な防衛予算の増額と防衛力強化が必要だと述べた。談話発表後の記者会見でも、日米などの民主主義諸国と安全保障面で協力を強めていく姿勢を示した。 防衛予算の大幅増額を求めているトランプ次期米政権に対して台湾防衛の決意を示すほか、台湾の立法院(国会に相当)で過半数を占め防衛予算などの削減を要求している野党を牽制する狙いがありそうだ。 頼氏は談話で、中国やロシア、北朝鮮、イランなどの権威主義政権が一体化を進めて「ルールを基礎とする国際秩序を脅かし、インド太平洋と世界の平和と安定に深刻な影響を与えている」と指摘。「台湾が強靭になるほど、世界の民主主義の防衛線はより強固になる」と訴えた。 また台湾の日米や欧州、東南アジア諸国などに対する投資が大幅に増加し「単一市場(中国)への依存度は低下した」と強調した。台湾の2024年の域内総生産(GDP)成長率が4・2%に達するとの見通しも示し、「台湾の景気は回復を続け、経済は安定的に成長している」とした。 頼氏はまた記者会見で、中国やロシアなどを念頭に、民主主義諸国の選挙に対するフェイクニュース拡散などの認知戦やサイバー攻撃、近海での軍事演習といった独裁国家による脅威に言及。台湾と民主主義諸国が団結して対応しなければならないと訴えた。