ヤクルト本社 新ブランド「豆乳の力」 植物素材利用食品を新たな柱に 植物性ヨーグルト市場で新機軸創出
ヤクルト本社が生産子会社としてヤクルトプランツファクトリーを設立し、10月7日から新ブランド「豆乳の力」の販売を開始した。これは豆乳を乳酸菌とビフィズス菌で発酵させて作ったはっ酵豆乳食品で、植物素材利用食品を今後の新たな事業の柱に位置づけている。大豆やオーツなどの穀物やナッツ類など植物素材を活用した食品の拡大が続く中で、ヤクルト本社の対応が注目されている。そこで開発部開発二課の金山侑華係長、開発研究部商品研究三課の前田穣主任研究員、開発部研究開発管理課の境裕子係長にインタビューした。(聞き手=金井順一)
――「豆乳の力」を発売するまでの経緯を教えてください。 金山 当社は長期ビジョン「Yakult Group Global Vision2030」および「中期経営計画(2021~2024)」において、今後の新たな事業の柱として植物素材利用食品市場への参入を発表しました。その実現のため、レモンなど植物素材のリソースを持っていたポッカサッポロフード&ビバレッジ(以下「ポッカサッポロ社」)と、2021年11月に業務提携契約を締結し、当社独自の乳酸菌・発酵技術を組み合わせた植物素材利用食品の検討を進めてきました。 その一環として、お客様への新たな価値提案とさらなる市場拡大のために、ポッカサッポロ社が有する植物性ヨーグルト事業を取得し、当社が事業主体となることを2023年9月に合意しました。この間、ポッカサッポロ社とは共同開発の「ソフールレモン」を発売した経緯があります。加えて2024年3月に植物性ヨーグルトを製造するポッカサッポロ群馬第二工場の生産設備についても当社が取得することを発表しました。 こうした経緯を経て、ポッカサッポロ社から取得した植物性ヨーグルト事業と生産設備を活用し、新たな生産子会社(ヤクルトプランツファクトリー)を設立したうえで、新ブランド「豆乳の力」を発売することになりました。 ――既存の豆乳市場をどうみていますか。 金山 世界の人口増加に伴うプロテインクライシスの発生や、畜産業による環境負荷など、社会課題や環境問題が取り沙汰される中で、コロナ禍をきっかけに生活者の健康意識が高まり、新たな柱として植物素材利用食品を立ち上げることに意義があると考えています。「豆乳の力」が位置する植物性ヨーグルト市場は、豆乳を使用した商品が市場の大半を占めています。今後も「豆乳の力」の販売促進により豆乳の栄養価を訴求し、植物性ヨーグルト市場のさらなる拡大を図っていきます。 ――今なぜ植物素材利用食品なのですか。 金山 世界では、地球環境への対応、人々の健康ニーズの拡大から、大豆やオーツなどの穀物やナッツ類など植物素材を活用した食品の市場拡大が進んでいます。当社は「人も地球も健康に」をコーポレートスローガンとして掲げており、植物素材利用食品市場に参入し「豆乳の力」を発売することで、より一層コーポレートスローガンの実現を推進します。