ヤクルト本社 新ブランド「豆乳の力」 植物素材利用食品を新たな柱に 植物性ヨーグルト市場で新機軸創出
――最も重視したことは何ですか。 前田 「おいしさ」です。そのため、おいしい豆乳ヨーグルトをつくるために開発された「おいしさ丁寧搾り製法」で搾った豆乳を使用しました。この製法は大豆臭さや渋味を抜き、クセが少なく食べやすい風味の商品をつくるための製法です。 また、食感がなめらかで口当たりが良いことも特徴の一つです。乳酸菌やビフィズス菌の種類やつくり方によって変わるので、なめらかでおいしい食感になるよう工夫しています。 ――開発段階で苦労した点を教えてください。 金山 開発部としては、パッケージデザインにおいて「はっ酵豆乳食品であること」の分かりやすさを重視しましたが、この点がとても苦労しました。デザインのテーマカラーでも試行錯誤を重ねました。110g個食タイプのデザインは、光沢感のある色調を基調とした店頭で目を惹く色合いにし、赤色の帯に特定保健用食品のマークおよびヘルスクレームを表示し、可読性を向上させました。400g大容量は、フタを110gプレーンと同様のゴールドに統一しつつ、カップは豆乳をイメージしたナチュラルで健康感のある色合いにしました。 前田 開発研究部としては、設計開発はトーラク社やポッカサッポロ社が構築されたもので、当社にとって豆乳の製造から発酵、製品化までを一貫製造できる工場は初めてですし、豆乳の製法も特殊なので数多くの新たな知識や技術が必要となり、技術継承には苦労しています。 例えば、原料大豆はその年によって品質が異なりますので、良い品質の製品をお客様に提供するため、工場で使用する前に研究室で製品をつくって品質を評価しますが、当社には研究室で豆乳をつくるための機械がなかったので、その機械を購入して使い方を習得するところからのスタートでした。そのためにポッカサッポロ社の研究所にうかがって機械を使わせていただき、技術を教わりました。 また、工場の設備についても、当社の乳製品工場と異なる部分があり注意しなければならないポイントが違いますので、何度も足を運び、勉強させていただきました。 境 開発部においては、ポッカサッポロ社から譲渡を受けた資料に基づき、現制度に合わせた申請資料を作成し、特定保健用食品の申請を行いました。限られた期間での手続きでしたが、無事に特定保健用食品の許可を取得することができました。