ババアと呼ばれてうれしかった!?【いとうあさこさんインタビュー/前編】
そういえば、自分は何て呼ばれていたのだろう? その呼び名は、どこから来ていたのだろう? 考え始めると、自分の足元を改めて見つめたくなる。 「愛称とか蔑称とか、どうすればいいのか、本当の正解なんてもしかして一生出ないかもしれないし、それぞれの意見があっていいと思います。 お客さまにとっても、たぶん遠からずの題材だと思うので、舞台の上で私たちがあーだこーだしゃべるのを『朝まで生テレビ!』みたいな感じで、それに参加するような気分で観ていただければいいかな、と。 白熱しすぎて、客席から『私も言いたい!』って手を挙げる方がいるんじゃないかと、それだけが心配です(笑)」 山田ジャパンの基本は、コメディ。劇団の主宰で脚本と演出を担当する山田能龍さんは近年、海外でも話題になったNetflixのオリジナルドラマ『全裸監督』の脚本チームに名を連ねるなど、注目を集めている。 「その山田さんの人生経験とか紆余曲折が脚本に活かされているせいか、ここ数年の舞台のテーマには命とか家族とか人と人との縁とか、そういう心に沁みるものがあって、哲学コメディなんて呼んでくださる方もいます。 だからって別に、難しいことなんて言わない、普通にコメディなんですけどね(笑)。 私自身、山田ジャパンの舞台に携わっている間は、自分がすごく心豊かになっている実感があります。 それに普段はピン芸人なので、人と一緒に物語を紡いだり、周りの人たちとやりとりしながら舞台が盛り上がってドーンとウケると、自分がそのオチにならなくても『ヘイ!ヘイ!ヘイ!』って、気持ちが上がる自分がいます(笑)」 インタビュー中も元気で明るくて、話が面白くてサービス精神たっぷり。そのエネルギーはハンパない。「どうしてそんなに元気なんですか?」の話は、インタビュー後編へ! 【話してくれたのは】 いとうあさこさん いとう・あさこ●1970年6月10日生まれ、東京都出身。1997年、お笑いコンビ「ネギねこ調査隊」を結成。2003年にコンビ解消後、ピン芸人として活動を開始。現在レギュラーで地上波番組4本、ラジオ3本に出演中。2008年から劇団「山田ジャパン」の旗揚げメンバーとして、劇団公演には必ず出演している。主演映画『鈴木さん』(’22)など俳優としても活躍中。 撮影/富田一也 取材・原文/岡本麻佑