行き渋りから不登校になったらどうなる?昼夜逆転生活やその後の進学…専門家が回答
声のかけ方、親が仕事のときの対応、この先への不安も… わが子が行き渋ったら、親はどうすればいい?
突然わが子が行き渋りをしたら、親はどうしたらいいかわからず戸惑ってしまうはず。読者の疑問や心配の声に、専門家が回答します。
教えてくれたのは
●石井しこうさん 不登校ジャーナリスト これまでNPO法人で、不登校の子どもやその親など約400人に取材。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)。
教えてくれたのは
●池田隆史さん 認定NPO法人カタリバ不登校支援スタッフ 中学校の教員から、認定NPO法人カタリバの不登校支援スタッフに。島根県雲南市の教育支援センター「おんせんキャンパス」で、不登校の子どもたちを支援している。
行き渋りから不登校になったらどうなる? 勉強や将来のことも心配…
Q.学校を休んで、昼夜逆転生活になったらどうすれば?
A.昼は罪悪感に襲われることも。回復すれば生活リズムが戻る 「思春期以降の不登校では、半数以上は昼夜逆転になるのでは。うつ症状が出て昼に寝てしまい夜眠れない場合や、昼間は学校を意識して自己嫌悪や罪悪感に襲われてしまうので、夜のほうが安心できるというケースも。基本的に放っておいて大丈夫で、心身が回復するとリズムが戻るはず」(石井さん)、「状態を見つつですが『朝起きて一緒にごはんだけ食べよう』と声をかけたり、家事を頼んだりすると日中の活動ができることも」(池田さん)
Q.不登校になったら将来が心配。進学・就職はできますか?
A.85%は高校進学。進学先の選択肢が増えている 「進学がすべてではないですが、中3で不登校を経験した子どもの約85%が高校に進学しているというデータが」(石井さん)、「不登校で高校受験に不利になることはないはず。ただ全日制なら、出席の意欲があるかは見られることも。今は“戻り学習”に力を入れている高校など、選択肢が増えています」(池田さん)
Q.不登校になった場合、家やフリースクールなどほかの施設で勉強しても、学校を卒業したことになるのでしょうか?
A.不登校でも卒業はできる。施設との連携は千差万別 「施設と学校の連携は千差万別で、フリースクールやホームスクールで出席認定できたり、教育支援センターは連携しやすいことも」(池田さん)、「小中学校は出席日数の規定はないので、休んでも卒業可。校長が判断するのですが、卒業できないなどと言われたら『子どもの人権110番』などに相談を」(石井さん)
Q.進学しない選択をした場合、親は子どもの将来をどうサポートすればいい?
A.子どもの意思を尊重。親の相談先を見つけておいて 「子どものタイミングに任せて、意見を尊重して。本人が悩んでいるときに必要な情報を提供するのが、親のできるサポートだと思います」(石井さん)、「中学校を卒業すると、急に学校や地域から孤立しがち。民間でも自治体のソーシャルワーカーでも、保護者が困ったら相談できる先を見つけておいて」(池田さん) Staff Credit イラストレーション/pum 取材・原文/野々山 幸(TAPE) こちらは2024年LEE10月号(9/6発売)「「行き渋り」「不登校」その後の選択」に掲載の記事です。