【言語聴覚士・理学療法士が解説】実はすごい。楽しみながらリハビリにもなる「遊びリテーション」本当の効果
この記事で紹介する「遊びリテーション」とは、遊びでありながらリハビリテーション的な効果が期待できる高齢者向けのアクティビティのことです。およそ30年前に介護現場で誕生し、各地で行われてきました。 【画像】死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 リハビリには医師の処方が必要ですが、遊びは参加する人の好みでいかようにもアレンジできます。そんなふうに、誰でも自由に始められるという利点が、遊びリテーションにはあるのです。介護的な手法と医療的な知見をもとに、病気や障害のある人でも参加できるよう工夫された120以上のレパートリーのなかから、とくにおすすめできる活動を、『完全図解 遊びリテーション大全集』からお届けします。
楽しくてリハビリにもなる「遊びリテーション」とは何か?
かつて医療・介護の世界では、高齢者(とくに病気や障害のある人)には安静が当然とされていました。しかし近年では、リハビリテーション(リハビリ)が普及して「第三の医療」と呼ばれるようになり、運動の治療効果が広く認められるようになっています。 医療が進歩し平均寿命が延びた結果、私たちは仕事を退いたあと20~30年、ときには片マヒや認知症などの病気・障害があっても生きられる時代に入りました。このため、高齢者介護の現場では、日々の楽しみとしてレクリエーション(レク)へのニーズが高まってきています。 ところが、レクリエーションは、もともと余暇の楽しみとして考え出されたものでした。リハビリテーションは、傷病兵の社会復帰の手段として発展してきました。どちらも本来の対象は若年層であり、必ずしも高齢者向きとは言えないのです。とりわけ病気や障害のあるお年寄りは、レクとリハビリの狭間で取り残されがちでした。 そんなお年寄りにもできる、リハビリの要素を取り入れた楽しみとして介護現場で働く人たちが考え出したのが、「遊びリテーション」です。この「遊びリテーション」という言葉は、「遊び」と「リハビリテーション」を組み合わせた造語です。遊びリテーションは、ルールや道具などを工夫すれば病気や障害がある人でも参加でき、現場ですぐ始められるところに特徴があります。