旅の新トレンド「分散型ホテル」おすすめ 10
宿泊者が体験できるのは、この町に息づく木彫り技術を使ったスプーンや豆皿づくりのほか、漆の箸づくり、オリジナルのフレグランス作成など多種多様。ほとんどのワークショップは所要時間3時間ほどだが、完成まで1年間、3回に分けてじっくりと制作を行う、特別な漆のうつわづくり体験も用意されている。 さらに、近隣のショップ&ギャラリー「季ノ実」では、「Bed and Craft」作家の作品を実際に購入することもできる。
宿泊棟は、「一棟一職人」がコンセプト。作家としても活動する、井波の個性あふれる職人たちがそれぞれの宿を自らの作品と見立て、空間を彩っている。 たとえば、漆をテーマにした「taë」棟(写真)を手がけたのは漆芸家の田中早苗氏。漆の作品や天井から垂れる和紙の朱、お風呂の壁や古い和だんすの桜色など、美しい日本の色が取り入れられている。また、木彫り彫刻家の前川大地氏が手がけた「KIN-NAKA」棟では、同氏の代表作である木彫りのシャンデリアが空間をあたたかく照らす。
すべての宿泊棟にはキッチンやお風呂、洗濯機などの家電も備わっているので、住人気分で連泊するのもおすすめ。カップルにぴったりのコンパクトなつくりから、ファミリーや友人同士でもゆったりと泊まれるタイプまで、バリエーションも豊かだ。 食事は周辺の飲食店を利用したり、地元の食材を買って自炊したりすることもできるほか、朝食・夕食付きプランも用意されている。また、初めての人もディープな“井波体験”ができるよう、「まちのコンシェルジュ」がいるのも心強い。 Bed and Craft 住所/富山県南砺市本町3-41(フロント) tel. 0763-77-4138
BYAKU Narai/長野・奈良井
中⼭道の宿場町、奈良井宿の魅力を存分に味える宿が「BYAKU Narai」。重要伝統的建造物群保存地区のなかに、宿泊棟、食事処、温浴施設、BAR、ギャラリーが点在している。 2021年の開業時は、「歳吉屋(としよしや)」と「上原屋」の2棟12室でスタート。「歳吉屋」は街のシンボルでもあった「旧杉の森酒造」を改修した建物。また、「上原屋」はかつて曲げ物職人が暮らす住居で、近年は民宿として親しまれていた建造物を活用している。