都知事選出馬で注目! 広島県安芸高田市長・石丸伸二、地元徹底取材で見えた"バズ市長"の意外な正体
■財政再建で手腕を発揮 人口2万6000人余りの安芸高田市は、広島県北部の山あいにある町だ。今年3月には市内に8小学校があるうちの1校が閉校。少子化が進むこの町では、財政状況も著しく悪化していた。 市長就任前の19年度の同市の経常収支比率は98.2%。市の財政課の担当者によると、 「市に入ってくるお金(収入)のうち98.2%は使い道が決まっていて、自由に使えるお金は1.8%しかないという窮屈な財政状況」だったと説明する。ちなみに23年9月に「財政非常事態宣言」を出した山梨県市川三郷町の経常収支比率は98.1.%。安芸高田市の財政状況も同レベルで悪化していた。 そこで、石丸市長が着手したのが財政再建で、不採算事業や利用者が少ない公共施設を次々と廃止した。そのひとつが、09年から継続していた結婚支援事業。 市認定の結婚コーディネーターが男女の出会いをお膳立てし、成婚、出産、定住へとつなげる事業だったが、石丸市長は「結婚至上主義は有害。行政が関われば、結婚しなければならない、子供を持たなければならないという強迫観念を助長しかねません」(市議会での答弁)とバッサリ。同事業の担当課の職員が話す。 「婚活支援は全国の自治体でやってることですから、廃止と聞いたときには驚きました。ただ、数字を冷静に見ると12年間で総事業費4551万円を投じて成婚数は59組と、費用対効果は高いとはいえません。廃止は妥当だったと、今なら思えます」 さらに石丸市長らしさが出たのは田んぼアート事業の廃止だ。色の異なる稲を実らせ田んぼに巨大な絵を描く同事業は、観光振興策として浜田一義市長時代(08~20年)の17年にスタートした。 だが、当初は田んぼアートだけだったのが、「大きな展望台を造って飲食施設も併設して、と箱モノが増えていった」(地元市議)という。この市議がこう続ける。 「当時の市長はもともと土木系出身で『自分が市長のときは好きなだけカネを使う』と言っていたような方。周囲はノーと言えず、市長の言うまま事業費は億単位に膨れ上がりました。石丸市長は利権も癒着も議会の悪習も関係なく、ムダなものはムダとバッサリ斬る。われわれにはできんことです」 別の市議は「既得権益をぶっ壊す、その破壊力は抜群」と石丸市長を評した。