リターン1900%超の英ファンド、投資先の日本で長い沈黙破る
京都銀や大林組に特別配当を要求
シルチェスターは1995年から日本に投資している。以前は非公開の形で投資先の経営陣に変化を迫ることがほとんどだったが、2007年に自動車用品販売のオートバックスセブンによる転換社債型新株予約権付社債の発行差し止めを求めて東京地裁に提訴するなど、時には公に要求することもあった。当時のオートバックスの発表によると、この要求は裁判所に退けられた。
シルチェスターは22年に日本企業に対する一連の株主提案に着手。京都銀行を含む地銀4行に特別配当を求めた。日本では1%以上の株式を6カ月以上保有する株主に株主総会の議案請求権が認められる。
それまで株主提案を受けたことがなかった京都銀行は、弁護士ら専門家と協議した結果、提案に反対することを決めた。これに対し、06年から株式を保有してきたシルチェスターは、同行の対応は「認識の甘さと財務的洞察力の欠如を示すものだと考える」とのコメントを発表した。
シルチェスターは、京都銀が株主や自行に利益をもたらすことを目的としておらず、経営陣の安心材料としての資産を留保しようとしていると主張。地域金融機関は、中核の銀行業務からの利益の半分と、保有株式からの配当収入の全てを株主に還元すべきだとした。
シルチェスターの提案は株主総会で否決された。
シルチェスターは昨年、京都銀に特別配当を再び要求し、自社株買いも求めた。総合建設(ゼネコン)大手の大林組に対しても特別配当を求めた。これら提案も株主総会で否決された。
今、注目されているのは、シルチェスターが今年の年次株主総会シーズンに提案を行うかどうかだ。多くの日本企業は6月に年次総会を開催し、今後数週間で株主提案が発表される見込み。
京都銀を中核とする金融持ち株会社、京都フィナンシャルグループの土井伸宏社長はインタビューで、「われわれの考えを引き続き説明したいし、先方の考えもちゃんと聞きたい」と語り、「敵対的に考えていない」とした。