リターン1900%超の英ファンド、投資先の日本で長い沈黙破る
大林組の広報担当者は株主とのコミュニケーションについてコメントを控えた。同社は昨年5月の発表資料で、特別配当の提案への反対は「中期経営計画の成長戦略を阻害する」ためだと説明した。
ただ、大林組の株価は今月5日、20%余り急騰した。資本政策を見直し、中期経営計画の最終年度である27年3月期までに自己資本利益率(ROE)10%の達成を目指すと発表したことがきっかけ。
空売りで思わぬやけども、企業統治改革で難あり銘柄にも大変貌リスク
シルチェスターが22年4月に最初の提案を行う計画を明らかにして以来、京都FGの株価は2倍余りに上昇。ブルームバーグがまとめたデータによると、シルチェスターは京都FGの株式6.6%を保有する筆頭株主。
シルチェスターは「アクティビスト(物言う投資家)」ではないが、投資先企業がどのように経営されているかに強い関心を持っていると、同社の担当者は説明した。
いずれにせよ、シルチェスターが保有する日本株の価値は急上昇している。円安の進行が輸出企業の利益を押し上げており、日本国内ではインフレがようやく定着しつつある。ブラックロックのラリー・フィンクCEOやバフェット氏ら投資界の大物が東京を訪れ、日本市場を持ち上げる発言をしている。
バフェット氏は都内の高級スイートで5大商社幹部と何を話したか
だが、長年の日本ウオッチャーは、シルチェスターの動きにも同様に関心を寄せている。
シルチェスターを「ディープバリュートレーダー」と呼ぶみずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、「エンゲージメントは水面下での交渉、しかもソフトエンゲージメントだ。ここでプッシュすれば地銀が変わるのではと思って株主提案したのかもしれないと推測する」と語った。
「バリュー投資の父」の影響
オックスフォード大学を卒業したバット氏(73)は、1990年代にロンドンでモルガン・スタンレーの資産運用業務に携わり、最高投資責任者などを務めた。