「糖尿病」の世界の発症率 30年で大幅に上昇、死亡率は低下傾向
イランのケルマン医科大学らの研究グループは、「世界の糖尿病の発生率と罹患率を調査したところ、2005年まで上昇傾向だった平均死亡率が、それ以降は人口10万人/年あたり0.14件減少する低下傾向にある」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
今回、イランのケルマン医科大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。 中路先生: イランのケルマン医科大学らの研究グループは、発展の度合いが与える影響を特定する目的で、世界の糖尿病の発生率と罹患率を調査しました。研究成果は、一次研究論文を掲載するオープンアクセスの電子ジャーナルの「Scientific Reports」に掲載されています。 研究グループは、保健指標評価研究所のデータベースを用いて1999~2019年における世界の10万人/年あたりの糖尿病の発生率と死亡率を抽出、死亡率対発生率を算出しました。分析の結果、対象となった30年間で糖尿病の発生率は、全ての地域において大幅に上昇していました。死亡率をみると、ラテンアメリカ、カリブ海諸国はほぼ横ばいであり、高所得国では低下傾向でした。一方で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中央アジア、南アジアは上昇傾向を示していました。北アフリカ、中東は1990~2006年にかけて上昇傾向がみられましたが、それ以降は低下傾向でした。東南アジア、東アジア、オセアニアは1990~2006年にかけて大幅な上昇傾向でしたが、それ以降は横ばいとなっていました。また、サハラ以南アフリカも1990~2004年にかけて緩やかに上昇していましたが、以降は安定していました。 糖尿病の発生率、死亡率、死亡率対発生率の平均傾向を全体で評価すると、1990年には糖尿病発生率は10万人/年あたり約213.96件で、1990年から2019年にかけて10万人/年あたり3.73件の増加が示されました。平均死亡率については、全体でみると2005年までは10万人/年あたり0.43件増加し上昇傾向がみられましたが、それ以降は0.14件減少し、低下傾向となっていることがわかりました。