昨年高校生Vの國府縞鈴、全日本選手権2階級制覇へ初戦で快勝 10月に憧れの入江聖奈さんと練習
ボクシングの全日本選手権第4日は29日、東京・墨田区のひがしんアリーナで男女各階級の準々決勝が行われた。昨年大会で高校3年生ながら女子フライ級を制した國府縞鈴(こくふ・こりん、19)=日体大1年=が、女子バンタム級で中野芳香(日大)に5-0の判定勝ち。2階級制覇に向けて初戦を快勝した。30日に同会場で行われる準決勝では成田華(日体大4年)と対戦する。 身長162センチの國府は1、2回とワンツーをヒットするなどし、ともにフルマークでポイントを奪う。3回には「明日の相手を想定して」と打ち合いを試す余裕があった。勝者コールを聞いても表情を変えなかったが、笑顔で中野にあいさつ。リングを下りて「1、2回は自分の距離でやろうと思っていて、それは今日は良くできた。3回はうまく打ち合いができず、全然そこは駄目でした」と冷静に試合を振り返った。 熊本・開新高3年生で初出場した昨年大会は、バンタム級で優勝した同じ熊本県出身の原田美琴(東洋大)とのすみ分けのため、本来の階級から1階級下げたフライ級で、入江聖奈以来の女子高生での優勝を達成。今年は原田が欠場していることもあり、本来のバンタム級で出場した。全日本選手権2階級制覇を狙う。 2021年東京五輪女子フェザー級金メダリストの入江さん、今大会の女子ライト級に出場している姉・紗鈴依(さりい、日体大2年)を追って進学した日体大では、それまではほとんど取り組んだことのなかった筋力トレーニングを、大学のトレーニングルームで週2回実施している。「自分に足りないパワーを、ちょっとはつけられたかなって感じです」と力強さが増した。 10月には憧れの入江さんと一緒に練習する機会があった。マスボクシング(軽めのスパーリング)を行い「いろいろ教えてもらって。やっぱり全然レベルが違いました。まだまだだなと」と改めて目指す場所のレベルの高さを痛感した。 入江さんに続いて2028年ロサンゼルス五輪での金メダル獲得を狙う大器は、30日の準決勝では日体大の先輩で、昨年の世界選手権代表の成田と初対戦する。事実上の決勝戦とみられる大一番へ「楽しみなところはありますし、絶対勝ちたいって気持ちももちろんあります。やっぱりうまいんで、そんなに簡単には勝たせてもらえないかな。今日の動きじゃ、まだ勝てないですね。なんで今から修正して、明日に向けて頑張ります」と気を引き締めて調整に向かった。(尾﨑陽介)