研究所、中央にはガラス張り「キッズルーム」 働くママ研究者を増やす、大学の試み
大学の研究生活は、時間と場所が制限されるため、女性研究者が子育てと両立するには大変なことが多かったです。しかし最近は、女性研究者を支援するために、様々な取り組みをする大学が増えています。どんなサポートが受けられるのでしょうか。名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)で活躍する、子育て中の女性研究者のリアルな日常を紹介します。 【写真】研究所の中心的な位置にあるキッズルーム
2013年4月に発足した名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)では、化学と生物学を融合した研究を行っています。立ち上げ当初のメンバーの大半が若い研究者や職員で、子育て中の人が多かったこともあり、育児と研究が両立できる環境の整備に積極的に取り組んできました。 拠点となる東山キャンパスのITbM棟には、キッズルームを設置。ガラス張りの一室はプライバシーを保ちつつも、あえて多くの人の目につく中心的な場所に置いています。 「学生さんを含む若い人たちに子育て中の研究者の姿を見てほしいという思いがあり、研究所の目立つところに設置したと聞いています。女性だけでなく、子育て中の男性が利用するケースもあります。また、当研究所は女性研究者が全体の3割を占めるので、体調が悪いときなどに休憩できる女性休養室として利用されることもあります」と、同研究所リサーチプロモーションディビジョン特任講師の三宅恵子さんは言います。 5歳と3歳のお子さんがいるという、同研究所の八木亜樹子特任准教授もキッズルーム利用者の一人です。 「普段は子どもたちを学内の保育園に預けていますが、新型コロナやインフルエンザで休園が続いたときなど、保育園側の事情で預けられない場合に、子どもたちを連れてきてキッズルームの目の届くところで遊ばせながら仕事をしています。学生と研究についてのディスカッションを対面でしたいときにも気軽に利用できるのは、キッズルームが研究所の中心的な位置にあるからこそだと思います」