郊外の大学が、都心の近くへ移転 新しい学食・トイレ…東洋大の学生が語るメリットとデメリット
郊外にあったキャンパスを、都心に近い場所に移転する「都心回帰」の大学が増えています。大学側にとっては志願者増などが期待できますが、学生にとっても、交通の便が良くなり、アルバイトや就職活動がしやすくなる、キャンパスライフが充実するなど、さまざまなメリットがあるようです。東洋大学はキャンパス移転や学部の再編などの改革を進めたため、2024年度入試では4年ぶりに志願者が10万人を突破しました。東洋大学の学生に、移転によって変わったことを聞きました。 【写真】新キャンパスのトイレの表示の色はフロアごとに統一されている
東洋大学は2005年に、朝霞キャンパス(埼玉県朝霞市)で行っていた文系5学部の1~2年次の授業を、3~4年次と同じ都心の白山キャンパス(東京都文京区)へ集約し、4年間の一貫教育を実現しました。さらにその後も、学部の移転や改編などを続け、17年には赤羽台キャンパス(東京都北区)を開設して情報連携学部を新設。24年4月にも、生命科学部と食環境科学部を板倉キャンパス(群馬県板倉町)から朝霞キャンパスへ移転するなど、矢継ぎ早に改革を続けています。同時に、理工学部生体医工学科を生命科学部に組み込むことで、「生命(いのち)と食」について、学部を超えて総合的に学べる環境が誕生しました。 この移転により、これまで板倉キャンパスから都心の池袋駅まで電車で1時間40分ほどかかっていたのが、朝霞キャンパスからは25分ほどでアクセスできるようになりました。東洋大学の広報担当者はこう話します。 「食環境科学部の半数以上の学生は1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住です。板倉キャンパスの時は、東京都や千葉県から3時間近くかけて通学していた学生もいたので、移転によって利便性の向上につながったと思います。また、新しいキャンパスになることで、実験設備や調理設備も最新のものになりました。学部改組・再編に伴うキャンパス移転によって学部学科の垣根を越えた研究や学習ができるようになり、新たな価値が生まれることも期待しています」 こういった改革によって、キャンパスに通いやすくなっただけではなくて、学部ごとに分断されていた学びから、ほかの学部の学生と学ぶことで刺激を受けられる文理融合にもなり、志願者増につながっています。