松坂大輔と上重聡。今夏、2人は大阪のコースで闘った【甲子園の名勝負から26年】
大阪オープンはプロやアマチュア、男・女とも同じ舞台で戦う試合。松坂が上重のひとつ前の組でスタートすると、いきなりキャディが「フォアー」と叫ぶ。344ヤードのパー4、松坂は周囲の期待に応え、ドライバーを持ったのだが、慣れない白ティーからの景色に惑わされてOBを叩きボギー発進。すると、次の組で上重はアイアンでティーショット。うまく刻んだ。グリーンとティーインググラウンドで接近すると松坂が何やら両手でポーズを作り、上重にアピールした。ちょっとした仕草で周囲の人は気付かないのだが、上重は「あれは『俺がドライバーで攻めたのに、なんでアイアン? もっと攻めろよ』という意味ですね」と説明する。二人は会話をしなくても何でも伝わる仲なのだ。 26年前、「スクイズを察知したら目で合図をするから」とキャッチャーに言ってポカンとされた上重だが、実際のところ、PLの元エースと横浜の元エースは目と目で会話ができるらしい。 大阪オープンは、松坂が38・33の71、上重は47・43の90で松坂に軍配。しかし、試合後の表彰式で上重が“飛び入り”で舞台に上がると、今度は上重がその場を制した。アドリブを交えながらの司会進行は、さすがアナウンサー歴20年余りのプロの仕事。「今日は(松坂に)19打差つけられちゃいました」と話すと参加者が沸く。26年前に甲子園で日本中の視線を釘付けにした二人が、2024年の夏、またみんなの視線を独占している。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/大阪オープン ※週刊ゴルフダイジェスト2024年9月24日号から一部抜粋
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