【試乗】乗りやすさとスポーツ性が両立。XSR700は大型デビューにもおすすめ!
回せばスポーティな乗り味が楽しめる!
3000rpm辺りで5~6速を使っていても、スロットルを開ければ車体はスッと加速し、市街地ではストレスのない走りができる。ハンドリングにマイルドさはあるが、上半身が起きたリラックスしたライディングポジションのままだとフロントに荷重をかけにくいので、むしろマシン挙動がシビアにならないセッティングだと思った。このエンジン回転域を使っていると、リラックスしてクルージングが楽しめ、日々の移動の足としても週末のツーリングの相棒としても扱いやすいマシンになっている。 しかし、各ギヤで4000rpm以上をキープすると、XSR700の走りは一気にスポーティになる。上半身を少し伏せてフロントに荷重すると、ハンドリングはマイルドさがなくなり、マシン挙動もシャープになる。エンジンはツインらしいパルス感が増してきて、蹴り出されるような加速力を発揮するので、スロットル操作をするのが楽しい。 前後サスペンションは荒れた路面でも底突きせず、スムーズに衝撃を吸収し、前後ブレーキは確実な制動力を発揮してくれる。クルージングで感じられた車体の安定性はスポーツライディングでも変わらないが、マシンコントロールはよりダイレクトになるのでコーナリングも楽しい。XSR700は以前のモデルで、往年のスポーツモデルをイメージしたカラーリングを採用したが、それは単なるオマージュだけではなかった。往年のスポーツモデルにはなかった厳しい環境性能や騒音規制をクリアしつつ、スポーツライディングの楽しさは当時を彷彿させるレベルに仕上げられているのを体感できたからだ。オーセンティックは忠実や正統という意味だが、本物という意味もある。誰もが感じられる扱いやすさと本物のスポーツライディングを楽しめる懐の深さがXSR700の特徴だと思った。
【2023年型ヤマハXSR700主要諸元】
・全長×全幅×全高:2075×820×1130mm ・ホイールベース:1405mm ・車重:188kg ・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒688cc ・最高出力:54kW(73PS)/8750rpm ・最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6500rpm ・燃料タンク容量:13L ・変速機:6速リターン ・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17 ・価格:100万1000円
小川浩康