【厚生年金】入社して30年、平均標準報酬額は「35万円」です。老後は月額いくら年金を受給できそうですか?
Cさんの老齢厚生年金と老齢基礎年金
〈相談者:Cさん〉 ・入社して30年 ・現在52歳 ・独身 Cさんが大学を卒業したときには就職も大変な時期で、給与もそれほど高いとはいえませんでした。そのため、20歳から大学卒業までは、国民年金保険料を免除していましたとのこと(当時は学生納付特例がありません)。 少しずつ給与やボーナスは増えてきて、今後も働き続けようと思っているようです。 今回、厚生年金は総報酬制導入後の平均標準報酬額として計算し「経過的加算」は含んでいません。 ●Cさんの老齢厚生年金(概算)をシミュレーション 総報酬制導入後のBを使い、ざっくりと考えてみると以下のような形となります。 35万円 × 5.481 / 1000 × 30年 × 12月 = 69万0606円 ●Cさんの老齢基礎年金をシミュレーション 81万6000円 × 30年 × 12月 / 480月 = 61万2000円 ●老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計 69万0606円 + 61万2000円 = 130万2606円 月額にすると10万8550円。これだけでは、物価高の現代で生活するのは大変かもしれません。 60歳まで8年間、今後も仮に同じ給与で働きつづけるとした場合、 ・老齢厚生年金 35万円 × 5.481 / 1000 × 8年 × 12月 = 18万4162円 ・老齢基礎年金 81万6000円 × 8年 × 12月 / 480月 = 16万3200円 つまり、18万4162円 + 16万3200円 = 34万7362円 の上乗せとなります。 この場合、130万2606円 + 34万7362円 = 164万9968円で、月額13万7497円となります。 ただし、この金額から健康保険や介護保険、所得税や住民税が引かれるため注意が必要です。
今後、Cさんが「老後資金」をつくる手立ては?
物価上昇が著しい昨今、2024年の物価見通しはどうなっているのでしょうか。 ●【東京23区】2023年1年間の消費者物価指数 総務省によると、東京都区部の2023年CPI(総合)は前年比3.2%。1年間で3%も物価が上がっており、それだけ現金の価値が下がっていることになります。 また、2023年の各月のCPIを前年同月比で見てみると年初は4%を超えていましたが、12月には2%台になりました。 一方、生鮮食品及びエネルギーを除いたコアコアCPIは依然として前年同月比が3%代で推移しており、2024年も物価の上昇は続くかもしれません。 こうした物価上昇の影響の余波は、現役世代だけでなくシニア世代にも届くと推測できます。 Cさんは今後、どのような動きをすれば「老後資金」を増やしていけるのでしょうか。以下に例をあげてみました。 ・学生時代に未納だった国民年金保険料を60歳以降に支払いし、年金額を上乗せ ・60歳以降もバリバリ働き、厚生年金に加入して年金額を上乗せ ・老後のために資産運用を検討する 年金に不安な方も多いと思いますが、まずは実情を知ることが大切。 「ねんきん定期便」を確認してどのくらい年金がもらえるのか把握し、早い段階から準備や対策を考えていきましょう。
参考資料
・日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」 ・日本年金機構「報酬比例部分」 ・日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」 ・日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」 ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
香月 和政