「授業を受けるだけ」では習ったことは定着しない!「人と差がつく勉強法」を紹介
開成番長こと、個別指導塾テスティー塾長の繁田和貴です。今回は、ほかの子を追い抜いて成績を上げるための「差がつく勉強法」についてお話ししようと思います。 今回のお話は、数ある「勉強法」の中でも最も重要な点の1つです。これを知らないと、「せっかく勉強したことが水の泡になるかも!?」「塾の高い授業料が無駄になるかも!?」という内容なので、ぜひ最後まで読んでくださいね。※繁田さんは開成中学・開成高校を経て、東京大学経済学部を卒業。開成在学時代には数々の逸話を残してきた通称「開成番長」。現在は、個別指導塾TESTEAの塾長として、開成・桜蔭・東大早慶をはじめとする最難関校に数多くの合格者を輩出している。 【グラフ】主要塾の開成中学校の合格者推移を見てみる
授業を受けるだけでは無意味!?問題演習で差がつく
さて、結論から言ってしまうと、今回お伝えする「差がつく勉強法」は『問題演習をする時間を確保しよう』ということです。 そんなの当たり前だと思いますか?しかし、毎週毎週新しい単元を習い、日々宿題に追われる受験生たちの中で、その当たり前のことがちゃんとできている子がどれだけいるでしょうか。はっきり言って、できていない子のほうが圧倒的に多いです。 だからこそ、ここで「差がつく」ことになります。ましてや、連日授業があるとなったらなおさらです。授業を受けて、勉強をした気になって、演習を後回しにしてしまう。そして習った内容をすっかり忘れる。そんな受験生がたくさんいます。 その「授業を受けるだけ」ということが、どれだけ意味がないかを教えてくれる、わかりやすい教育心理学の実験結果をご紹介しましょう。
一見要領がよさそうに見えても実は遠回り?実験からわかるアウトプットの重要性
パデュー大学のカーピック博士が、ワシントン大学の学生を対象にスワヒリ語を40単語覚えてもらう実験を行いました。繰り返しテストをしながら覚えてもらうという実験です。学生たちは2つのグループに分かれ、一方は「間違えたものがあったらすべて覚え直し」、もう一方は「間違えたところだけを覚え直し」というルールでインプットを行います。 そして、それぞれのグループをさらに半分に分け、一方は「再テストをするときにはすべての問題を解き直し」、もう一方は「間違えたものだけを解き直し」というルールでアウトプットをします。つまり組み合わせとしては、 A:すべてインプット/すべてアウトプットB:すべてインプット/間違いだけアウトプットC:間違いだけインプット/すべてアウトプットD:間違いだけインプット/間違いだけアウトプットの4つになるわけです。 カーピック博士は学生たちに、満点が取れるようになるまでインプットとアウトプットを繰り返させました。どのグループもすべて覚えるまでにかかった回数はほとんど変わらず、みんな4~5回も繰り返せば満点が取れるようになったようです。 時間や手間という点では、間違えたものだけインプット・アウトプットをするのがよいやり方だと感じますよね?しかし、残念ながらそうではありません。 なんと、1週間後に抜き打ちで行った効果測定テストの結果では、以下のような正答率になりました。 A:すべてインプット/すべてアウトプット 80%B:すべてインプット/間違いだけアウトプット 36%C:間違いだけインプット/すべてアウトプット 80%D:間違いだけインプット/間違いだけアウトプット 33% 要領よく間違えたところだけをやっていたDグループは、そのときにはすべて覚えられたはずなのに、1週間経つと3分の1ほどしか覚えていなかったのです。 ちなみに、すべて覚えるまでにかかった時間は、インプットもアウトプットもすべてやっていたAグループがかかった時間を100とすると、B・Cともに75くらい、Dは50くらいでした。アウトプットを減らすと少し時間を短縮できますが、覚えた量は3分の1ほどになりますから、よい勉強のやり方とは言えません。 一方、インプットに関しては、正解していたものは行わなくても、正答率には差が出ませんでした。覚えているものを再度インプットする作業はなくすのが効率的ですね。 この実験結果から、私たちの脳はインプットよりアウトプットを重視していることがよくわかります。子どもたちの勉強にあてはめると、成績を上げるためには「授業を受ける(インプット)」よりも、「演習をする(アウトプット)」のほうが大切ということです。