最大瞬間風速がすごかった”天才”(3)投手5冠の”負けないエース”
プロ野球の世界では、長く安定した成績を残し続ける選手もいれば、太く短く圧倒的な成績を残し、ファンの記憶にその活躍を刻む選手たちもいる。今回はその後者にあたる選手の中で、とりわけ活躍が印象深い投手たちにフォーカスを当てて紹介する。
斉藤和巳
投打:右投右打 身長/体重:192センチ/97キロ 生年月日:1977年11月30日 経歴:南京都高-福岡ダイエー/福岡ソフトバンクホークス(1997-2007年) ○最優秀防御率:2回(2003、2006年) ○最多勝利:2回(2003、2006年) ○最多奪三振:1回(2006年) ○ベストナイン:2回(2003、2006年) ○沢村栄治賞:2回(2003、2006年) 1995年に南京都高からドラフト1位で福岡ダイエーホークス(現ソフトバンク)へ入団。プロ入り後すぐは、故障の影響もあり一軍に定着できない日々が続いた。最初の6年間で計9勝。2000年(5勝)、02年(4勝)以外は勝ち星を挙げることさえできなかった。だが、これは嵐の前の静けさであった。 03年に開幕投手へ抜擢されると、開幕戦での勝利を皮切りに、先発登板16連勝のプロ野球記録(当時)を樹立した。同シーズンは、20勝3敗、防御率2.83をマークし、投手タイトルを総なめにした。さらに05年は16勝1敗で驚異の勝率.941を叩き出すと、06年には18勝5敗、防御率1.75で投手5冠に輝いた。 しかし、翌07年の6勝を最後にピタリと風が止むこととなる。右肩の状態は深刻で、残りのキャリアをリハビリに費やし、13年に現役を引退。通算79勝のうち64勝は、03-06年の4年間で稼いだものとなった。 斉藤の凄さはなんといっても「負けないこと」だった。斉藤の通算勝率は.775(79勝23敗)、投げればほとんどの確率で勝利する。斉藤が投げる日に観に行けば、ほとんどが勝ち試合となり、チームにとっても、ファンにとっても、頼もしい大エースだ。連勝記録も凄まじく、「シーズン15連勝を2回以上」は、プロ野球史上、斉藤ただ一人が成し遂げたものである。
ベースボールチャンネル編集部