プチ滝登りとレアな名花を訪ねて! 名湯「有馬温泉」から標高931mの「六甲最高峰」を登る
関西の奥座敷と呼ばれ、日本三名湯、日本三古湯にも数えられる天下の名湯「有馬温泉」。六甲山の北側に位置し、いくつかの登山道の起点となっています。いろんなコースがあるのですが、暑い夏の日、最高峰へダイレクトに突き上げる「白石谷」を遡行してみました。ちょっとレアな「イワタバコ」という花が咲いているのを期待しつつ、ザブザブ水の中を涼みながら登ろうという計画です。 【写真】沢登りしながらの白石谷から六甲山登山の魅力をチェックする(全9枚)
観光客で溢れる温泉街から静かな六甲北斜面へ
近年、有馬温泉はインバウンド客の増加もあって、曜日に関係なくいつも賑わっています。温泉街のターミナルに近い有馬川では、水辺で憩えるように親水広場が整備されていて、靴を脱いで沢に足を浸けて涼んでいる観光客の姿もちらほら。山の中の沢水なら、もっと冷たくて気持ちいいですよー! バスターミナルのコインロッカーに、温泉セットや着替えなどの不要な荷物をデポして、身軽になって出発。温泉街の坂道を登って、登山口を目指します。温泉街の最上部からは、「魚屋道」「紅葉谷道」という二つのメジャーな登山道があって、それぞれ山上方向へとつながっています。 六甲最高峰からダイレクトに下ってくるのが「魚屋道」。かつて、六甲山の南麓、深江の浜で揚がった魚を、有馬の湯治客に届けるために使われた道と伝わっています。その登山口の脇に祀られているのが「鳥地獄」。 有馬には、金泉、銀泉という2種類の異なる泉質の温泉が湧いているのですが、そのうちの銀泉は炭酸泉。泉源からは温泉とともに炭酸ガスが噴き出すため、周辺で鳥や虫などの小動物が死んでしまうことがあり、その供養のために「鳥地獄」「虫地獄」の祠を建てたそうです。そういうわけで、炭酸泉も「毒水」と思われていたそうですが、今では炭酸泉を利用した「炭酸せんべい」「有馬サイダー」が人気の土産物になっています。 魚屋道の登山口からさらに西へ進み、紅葉谷の登山口へ。紅葉谷道は、最高峰より西の山上施設付近につながっているメジャーな登山道で、よく整備されています。登山道のわきに、可憐なクサアジサイが咲いていました。 一般的なアジサイは、木の仲間ですが、このクサアジサイは名前の通り草本。ほかのアジサイと異なり、初秋の頃に咲きます。