プチ滝登りとレアな名花を訪ねて! 名湯「有馬温泉」から標高931mの「六甲最高峰」を登る
「紅葉谷出合」からマイナールートへ
紅葉谷から、支流の白石谷へと入っていきます。紅葉谷道と違って、白石谷には整備された登山道はありません。ちょっとしたバリエーションルートです。大きな堰堤をひとつ越えると、沢名の由来ともなった白石滝があらわれます。 この白石滝は、途中で左へ屈曲しているため、滝の全容が見えません。下から見えている一段目の滝はあまり傾斜がないけれど、上部は逃げられないゴルジュになってるかもしれない。もし行き詰ってクライムダウンとなると難しいかもと思って、だいたいいつもソロで登っている筆者は、これまで一度も登ったことがありませんでした。 今回、一緒に行った友人は、現役のアルパインクライマーだけあって、サクッとオブザベして行く気満々。 「おお、一発目からいきなり行っとくんかい」。 ……もちろん後に続きます。 一番下の段を登ったところで、さっそく今回のお目当て、イワタバコが咲いていました! 涼しげな紫がとても上品で可憐な花です。 葉っぱの形が、タバコの葉に似ていて、沢沿いなどの岩場に生えることからその名がついたとか。牧野富太郎博士が愛した花としても知られています。白石滝は、途中で屈曲しながらも、あまり傾斜のない小滝の連続となっていて、結果的に楽しく登れました。 そして、滝の側壁にはイワタバコがたくさん群生。ゆっくりと愛でながら登ります。 水量もほどほどで、軽くシャワーを浴びながら登る感じが涼しくて最高! 「夏は沢。花の頃はさらなり。イワタバコの多く咲き乱れたる」白石谷、いとをかし。 この日は、珍しくソロではなくて、クライマー女子ふたりと一緒でした。ソロの気楽さもわりと好きなのですが、沢ルートは携帯電話が圏外であることも多く、万が一のことがあったときにソロだと深刻な事態にならないとも限らない。 なので、慎重すぎるくらい慎重になるのですが、仲間と一緒だとなんだか気が楽で、のんびり和やかに遡行を楽しむことができました。【滝登りとプチクライミングで進む! 有馬温泉から「六甲最高峰」へ】へ続く。
根岸真理