なぜ落選?!球界重鎮が野球殿堂に警鐘鳴らす
バース氏は来年の殿堂入りに王手
プレーヤー部門では、立浪氏の次点がヤクルト、ホワイトソックスなど日米でストッパーとして活躍、日米通算313セーブの高津臣吾氏(現ヤクルト2軍監督)の225票(60.6%)で、3位が元巨人で犠打の記録を持つ川相昌弘氏の188票(50.7%)、4位が新候補となった名球会メンバーの宮本慎也氏(現ヤクルトヘッドコーチ)の153票(41.2%)。外国人助っ人として、事実上、初の殿堂入りが期待されていたラミレス横浜DeNA監督は、150票(40.4%)に終わり、当確ラインまで129票も足りなかった。 野手の殿堂入りの“暗黙のガイドライン”として通算2000本安打、或いは通算500本塁打がある。ラミレスは外国人選手としての初の名球会メンバーであり、通算2017安打をマークしている。さらに、首位打者1度、最多安打3度、本塁打王2度、打点王4度のタイトルを取った。ヤクルトの日本一、巨人のリーグ3連覇、日本一にも貢献している。しかも横浜DeNA監督として日本シリーズ進出まで果たし候補1年目でも殿堂入りへの期待値が高かったが蓋を開けてみれば惨敗である。 3冠を2度獲得したバースに関しては、1985年の阪神優勝の立役者としてのインパクトは強烈だ。しかも、1986年の打率.389は、日本最高打率である。ただ、実働はたったの6年。通算記録でいえば、743安打、202本塁打、486打点しかない。その点を問題視して票を入れない記者も少なくないと聞くが、2017年は40票、2018年は57票、そして今回は84票と、確実に票を伸ばしており“王手”をかけたとも言える。 だが、前出の広岡氏は、厳しい見方をしている。 「ラミレスにはピンとくるものがない。バースにも果たして殿堂入りの資格があるのか、どうか。私が投票に一人しか名前を書かなかった理由は、本来殿堂は、誰でも彼でも入るような場所ではないということ。本当に球界の発展に役立ち、尽くした、価値のある人物でなければならない。日本の野球殿堂のレベルを下げてはならないし、投票権を持つ記者にも、しっかりとした見識を持っていただきたい。私からすれば、今の候補者と投票数を見る限り、どんどん殿堂入りへの評価が甘くなっているように感じるのだ」 野球殿堂へ警鐘を鳴らす。 今回は、日ハムが北海道に本拠地を移転して15年が経過した影響で北海道地区で投票権を持つ記者が、どっと増えたため、史上最多の投票数となった。それでも広岡氏が5人連記可能なエキスパート表彰で(プレーヤー表彰は7人連記可能)、一人の名前しか書かなかったのは、殿堂の権威を落とさないためのアンチテーゼだという。 エキスパート表彰では、元ヤクルトのエースとして通算112勝を上げ、その後、投手コーチとしての評価が高まり、横浜で監督までやった尾花高夫氏に1票しか入らなかった。殿堂の競技者表彰委員会の候補者選びにも問題があるのだろう。