「優秀な学生を確保したい」 討論やプレゼン型の年内入試、「伸びる」学生、大学はどう評価?
■イマドキの年内入試
大学入試では、大学側に「早期に優秀な学生を確保したい」という思惑があり、受験生と保護者には「早く合格して進路を決めたい」という思いがあります。両者の思いが一致して、総合型選抜や学校推薦型選抜といった「年内入試」が拡大の一途をたどっています。多様化する入試方法を通じて、大学は受験生のどのような部分を評価しているのでしょうか。 実際に使われる予習ノート(一部)。自分の経験や知識とテーマを結びつけて考えることも求められる
創価大学は、「PASCAL入試」という総合型選抜を実施しています(全学部対象)。書類による1次選考を経て、2次選考では4~6人のグループでオンライン形式のグループワークを行います。1次選考合格者には「予習教材」が与えられ、受験生は予習教材を読んだうえで、LTD (Learning Through Discussion= 話し合い学習法)に臨みます。事前に、大学ホームページで公開している「LTDガイダンス映像」を参考に「予習ノート」を作成することが求められます。 また理工学部を対象に、このほかにプレゼンテーション方式の選考もあり、原則4人1グループで各自が発表した後、受験生相互で質疑応答を行います。 PASCAL入試とは「Performance Assessment of Students’ Competency for Active Learning」の頭文字を取ったもの。アクティブラーニングの要素を選考に取り入れて、2018年度入試からスタートしました。アドミッションズセンター長を務める中山雅司・法学部教授は、こう話します。 「創価大学では、2000年ごろからLTDを授業に取り入れてきました。この取り組みにより、本学の目指す力が伸ばせている手応えがあったので、入試方法にも導入することにしました。グローバルな社会を生きるための積極性や、高い協調性を持つ人に来てほしいと考えています」 2次選考では、LTD形式のグループワークやプレゼンテーション(理工学部のみ)のほかに、受験者の資質や経験を掘り下げて聞く面接があります。2次選考自体は1日で終わりますが、PASCAL入試の特徴は、その前段階にあります。 「23年度入試から、高3生を対象にした『PASCAL入試チャレンジプログラム』を導入しました。これは3月から8月にかけて行われるオンラインイベントで、いわばグループワークの事前体験です。受講はPASCAL入試の出願条件ではないものの、毎年多くの受験生が積極的に参加しています。10回を超える体験会すべてを受ける熱心な受験生もいます。さらにオンデマンドでの自己分析講座や現役大学生とのオンライン面談を実施し、大学入学に際してのマインドも育成するのが特徴です」 中山教授は、「チャレンジプログラム」も含めて、PASCAL入試を「育成型入試」と説明します。 「育成型入試」とは、入試に先駆けてセミナーや体験授業などを実施し、早い段階から志望校を意識させるもの。いま、こうした入試を導入する大学が増えています。 例えば、桜美林大学の「ディスカバ!育成型」入試は7月からプレゼミやキャンプを実施しており、九州産業大学では6月から模擬授業への参加を受け付けています。お茶の水女子大学の「新フンボルト入試」でも、高2から参加できる「プレゼミナール」を開催しており、これも広義での育成型入試と言えるでしょう。