ドコモ、能登など半島部の通信網を増強…災害に備え光ファイバー回線を3ルートに
NTTドコモは能登半島(石川県)など6地域で、携帯電話の基地局や通信設備を結ぶ回線を現在の2ルートから3ルートに増強する。今年1月の能登半島地震では、数少ない幹線道路が寸断されて作業員が現場に入るのが遅れ、通信網の復旧が難航した。携帯各社は、地理的な制約が多い半島部を中心に、地震や台風といった災害の備えを強化する。
25年度末メド
ドコモが通信網を増強する対象は能登のほか、房総(千葉県)、津軽(青森県)、知多(愛知県)、紀伊(三重、奈良、和歌山県)の各半島と平戸島(長崎県)。2025年度末をメドに、「基幹伝送路」と呼ばれる、通信ビルや基地局などを結ぶ光ファイバー回線の通り道を増やす。
携帯大手は原則的に、一つの回線が途絶えてもほかの回線でカバーし、通信サービスを維持できるよう、複数ルートの伝送路を整備している。人口が少ない半島部では2ルートが主流だという。
だが能登半島地震では、ドコモが整備していた2ルートの回線が両方とも断絶し、携帯の利用に大きな支障が生じた。停電や道路の寸断もあり、携帯向けの回線がほぼ復旧したのは、地震発生から2か月以上が過ぎた3月21日だった。
衛星活用
ドコモは、復旧作業が長引きやすい半島部を中心に、複数ルート化をさらに進める必要があると判断した。基地局や通信ビルを結ぶ基幹伝送路を主に所有するNTT東日本、西日本などと協力し、新たなルートの整備を進める。
自治体の役所など重要拠点や、山間部など新たに回線を敷設しづらい地域では、衛星通信網「スターリンク」の活用も見込んでいる。
ライバル社も
他の携帯大手も災害対策を強化している。KDDIは能登半島地震で基地局の応急復旧に活用したスターリンクの関連機材を増強する。200台ある専用アンテナを、今年度中に50台追加する予定だ。
ソフトバンクは9月、スターリンクを使った簡易型基地局を全国に配備した。避難所で使い、回線契約を結んでいない人にもWi―Fi(ワイファイ)を無料で提供する。
総務省は来年度予算の概算要求で、携帯大手などが基地局の災害対策を推進できるよう、衛星通信網の整備費用などへの補助を盛り込んだ。