フランク ミュラーの新たな一手は“古くて斬新”な手巻き時計です
「時計オタクを唸らせる数々の伝統様式と技法に注目」(長谷川)
フランク ミュラーは独自のデザインと複雑機構の両面で支持を得る技巧派ですが、「一体ドコまで進化する?」と、個人的にもワクワクが止まらない注目ブランドのひとつです。 そんななか打ち出された本モデルで特に注目したいのが、そのムーブメント。新造のcal.1702は、ジュネーブ様式のブリッジに加え、シャトン留めスタイルやチラねじテンプなど、要素だけを見たら古えの懐中時計のごときパッケージ。 しかも、パーツの磨きにおいてもジュネーブの伝統であるコート・ド・ジュネーブやペルラージュにはじまり、アングラージュ(面取り)、サティナージュ(サテン仕上げ)、コワン・ソルタン(鋭角仕上げ)など、各種の職人技が注ぎ込まれています。 つまり18世紀から長く蓄積されたスイス時計の伝統を網羅したアーカイブ的な側面も備えているのです。コアな時計好きの琴線に触れる要素を詰め込んだ、フランク ミュラーの新たなる一手。思った以上の奥深さに一本取られてしまいました。
● 長谷川 剛(はせがわ・つよし)
各種ファッションメディアを中心に、男性の服装や時計についてのページを手掛けるライター、時々エディター。バイクと古い服と時計好き。老近眼。
文/長谷川 剛(TRS) 編集/岸澤美希(Web LEON)