大谷翔平のいないエンゼルスのいま 低迷続くも若手の躍動にひと筋の光明
【7年ぶりに敵地でヤンキースに勝ち越し】 ただ......少々意外なことに8月上旬、ニューヨークでのシリーズで見たエンゼルスの陣容はそれほど悪いようには思えなかった。7日のダブルヘッダー2戦目は8対2、8日も9対4で勝ち、敵地でのシリーズで2勝1敗と勝ち越し。伝統のヤンキースタジアムでのエンゼルスの勝ち越しシリーズは、大谷が所属する前年の2017年以来のことだった。 もちろんちょうどこの時期は好調だったのだろうが(このシリーズ後の6試合で5敗)、6月3日以降でみても31勝31敗と悪くはない。ヤンキースとのシリーズではただ勝ったというだけではなく、若手が伸び伸びと活躍したゲーム内容にも、目を見張らされた。 23歳のザック・ネト遊撃手(17本塁打、22盗塁)は7日のダブルヘッダー2試合で満塁弾を含む合計8打点と大爆発し、この3連戦では13打数7安打と大当たり。22歳のノーラン・シャヌエル一塁手(12本塁打、出塁率.339)は8日のゲームで先頭打者アーチを放つなど、3安打で牽引車の役割を果たした。 評価の高い24歳のローガン・オホッピー捕手もチーム3位タイの16本塁打、25歳のジョー・アデル外野手(18本塁打、14盗塁)は7月12日以降ではOPS(出塁率+長打率).839。さらに25歳の先発右腕ホセ・ソリアーノはローテーション1年目で防御率3.36を残し、23歳の105マイル(169キロ)右腕ベン・ジョイスが8日まで22回2/3無失点を続けるなど、20代前半の選手が好結果を出している姿が目についた。 「彼らは場所がどこであろうと気にしない。これまでどおりにプレーしてくれた。悪天候は残念ではあったが、選手たちがやるべきことをやってくれたことを誇りに思っている」 エンゼルスのロン・ワシントン監督はそう述べ、"聖地"と呼ばれるヤンキースタジアムでも臆せずにプレーを続けた若武者たちを頼もしく感じているようだった。もともとワシントンは72歳と高齢にもかかわらず、若手の力を引き出すうまさに定評がある人物。今のエンゼルスの指揮をとるには適した指揮官であり、だとすれば28歳のマイケル・ステファニック内野手のこんな言葉は、単なる身びいきではなかったのかもしれない。 「このチームにはすばらしい若手たちが属している。これからどんどん向上していくと思う。私は彼らのアプローチを気に入っているよ」