iDeCo改正で70歳まで加入年齢が引き上げ? 変更に伴うメリットと注意点
2.iDeCoの改正で検討されている3つのポイント
近年、日本では高齢化が進行し、公的年金だけでは生活費を賄いきれない時代になってきています。そこで政府は、老後の資金を自分で積極的に増やしてもらう目的で、2001年にiDeCoという制度をスタートしました。 他の優遇制度などに合わせてiDeCoはこれまでにさまざまな制度の改正が行われてきましたが、2024年には厚生労働省の社会保障審議会においてさらなる制度改正について議論されています。 ここでは、現在、制度改正が検討されている3つのポイントについてわかりやすく解説します。 (1)iDeCo加入年齢を65歳未満から70歳未満に引き上げ 2022年5月より、以下の条件に該当する60歳~65歳未満の人は、iDeCoに加入できるように改正されました。 ①60歳以上65歳未満の会社員・公務員などの厚生年金加入者(第2号被保険者) ②自営業者や専業主婦(夫)で、60歳以上65歳未満の国民年金任意加入者(第1・第3号被保険者) ③海外に居住している国民年金の任意加入者 健康で働ける高齢者が増え、法改正などによって高齢者が働ける環境が整備されつつあるため、今後も働きながらより長期の資産形成をしていくことのできる制度が求められています。 このような理由から、現在「65歳未満」という年齢をさらに「70歳未満」にまで引き上げるという案が検討されています。 (2)iDeCoの資産受給開始を75歳以降でも可能に 公的年金の受け取りが75歳まで繰り下げ可能となったことに合わせて、2022年4月よりiDeCoの老齢給付金受取の開始時期が「60歳から75歳になるまでの受け取りたいタイミングで請求できる」内容に改正されました。 この改正によって、近年多様化してきている働き方や生活スタイルなどに合わせた老後の資金計画を立てていくことが可能となりましたが、70歳の間際になって加入をすると5年ほどしか運用期間がとれない問題が出てきています。 そこで、受給開始年齢を75歳以降でも可能とし、70歳近くの加入者でも十分な運用期間を確保できるような案が現在検討されています。 (3)iDeCoの掛金上限額を引き上げ 2024年12月からの改正では、確定給付型企業年金などの他の制度に加入している場合(公務員を含む)には、iDeCoの掛金上限額(拠出限度額)が12,000円/月から20,000円/月へと引き上げられます。 毎月20,000円に掛金額が増えると、年間240,000円が上限となり、税制優遇される額もその分上がります。 ただし、各月の企業型DCの掛金額と他制度の掛金相当額と合算をして55,000円が掛金上限額(拠出限度額)となりますので、じっくり検討して掛金額を決めましょう。 そして現在、さらなる掛金上限額の引き上げについて検討されています。 参照:社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の中間整理|厚生労働省,第31回社会保障審議会企業年金・個人年金部会|厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001198619.pdf)