SNSで2.1万いいね! 大きなぬいぐるみを大切にする夫婦のほっこりエピソード
漫画家・イラストレーターとして活躍するこやまこいこ(@koyamacoico)さんが綴った『わたしのぬいぐるみさん』という作品をご存知でしょうか。 この作品は、大阪にある「ぬいぐるみ病院」にぬいぐるみを治療してもらった経験のある人々にぬいぐるみとの思い出を語ってもらい、それぞれの思い出エピソードをまとめたものです。 【漫画を読む】『わたしのぬいぐるみさん』のエピソードを読む この作品の中から、X(旧Twitter)に投稿され2.1万の「いいね」がついた、ある夫婦のエピソードをご紹介しましょう。 ■『もう一度あなたを思いっきり抱きしめたい話』はどんな話? その日、じゅんさんとあかりさんの夫婦はふたりともわくわくしていました。ぬいぐるみ病院から大切なぬいぐるみ「ぴよよ」が帰って来たからです。久しぶりの対面は2人そろってからと決めていたので、じゅんさんはあかりさんが帰って来るのを待っていたのでした。 ぴよよとの出会いは、数年前にふたりで買い物したときのことでした。雪の中、クリスマスセールのワゴンの中にいた大きなひよこのぬいぐるみと、ふたりの目があったのでした。「確実に私たちを見ていたと思うんです」とじゅんさんは思い出します。 夫婦の間には子どもがいませんでした。ふたりはぬいぐるみを購入し、「ぴよよ」と名前をつけました。「子どものようにかわいがりたかったのかもしれません」とじゅんさんは思い出します。 こうして、ふたりの生活の中にすっかりなじんだぴよよ。ご飯を食べるときも、夜寝る時も一緒でした。 そうやって数年がたつと布が薄くなったり、中の綿が出たり、へたったり…ぴよよはすっかり形が変わってしまいました。負担をかけないように、ふたりはぴよよを思い切り抱きしめることを控えていました。そんなある日、ぬいぐるみ病院のことを知って、ぴよよが元気になれるとわかり、ふたりは思う存分ぴよよを抱きしめたのでした。 そしていよいよ入院。いざ入院となると箱にいれるのが辛くて、入院中はさみしくて…。でも、ぬいぐるみ病院から送ってもらえる写真を見て、ふたりは元気になりました。 待ちに待った退院。ぬいぐるみ病院から送られてきた箱を開けると、大きくて優しい元の姿のぴよよが帰ってきました。ふたりは「おかえり!」「元気になったねぇ」「かわいいねえ」と、思い切りぴよよを抱きしめるのでした…。 優しいタッチの絵柄で描かれたこの作品には、読者から「すごくわかる」「泣いちゃった」「やさしい世界」「うちの子も入院させたい」など共感のコメントが多数ついています。 このエピソード以外にも、『わたしのぬいぐるみさん』にはそれぞれぬいぐるみを愛する人々の優しいエピソードが集められています。14人のぬいぐるみの持ち主に話を聞いてこれらのエピソードを紡いだこやまこいこさんに、作品についてお話を伺いました。 ■『わたしのぬいぐるみさん』著者・こやまこいこさんインタビュー ──この『わたしのぬいぐるみさん』を書こうとしたきっかけを教えてください こやまこいこさん: 編集さんから、「ぬいぐるみ病院」を通して人とぬいぐるみのお話を描きませんか? と言っていただいたからです。 ──14人のぬいぐるみの持ち主さんに取材されたそうですが、持ち主のみなさんに共通する印象や感想はありますか? こやまこいこさん: オンラインでの取材だったのですが、だいたいの方が画面にぬいぐるみたちだけが写っていてかわいかったです。ぬいぐるみを触る手元がみなさんとても優しく丁寧だったのが印象的です。 ──こやまさんもお気に入りのぬいぐるみをお持ちですか? 特に大切にしているものがあれば、どんなぬいぐるみか教えてください。 こやまこいこさん: 娘たちが小さい頃遊んでいた歴代のぬいぐるみたちは大切に思っています。長女が作って私にプレゼントしてくれたぬいぐるみは特に大切です。 ──素敵な思い出ですね! この作品「わたしのぬいぐるみさん」も、ぬいぐるみへの深い愛情が伝わってくる作品でした。こやまさんにとってぬいぐるみはどんな存在ですか? こやまこいこさん: いろんな表情を持つどんなキャラクターや動物でもかわいくなるぬいぐるみたち。そこに居るだけで誰かの心を癒しているすごい力を持っている存在だなと思います。 ──では最後に、読者の方にメッセージをお願いします! こやまこいこさん: 読んでくださったみなさまありがとうございました。大切にされているぬいぐるみさんとこれからも楽しい日々が続いていきますように。 文=レタスユキ