看取り医が頭を抱えた!「私たちは普通の母親が欲しかった」…家を出た娘が明かす「石や包丁を投げる」天才三味線奏者の素顔
サヴァン症候群とは
サヴァン症候群とは、一般的な知能水準に比べて特定の分野で顕著な才能や技能を持つ状態の人のことをいう。通常、発達障害や脳損傷が背景にあることが多いと言われているが、症例も少なく、まだわからないことも多い。 この症候群は、数学、芸術、音楽などの特定の能力が非常に発達していることが特徴である。テレビのバラエティー番組で、過去数千年にわたって、その日が何曜日かを即座に計算して言い当てる才能を見たことはないだろうか。 諸説はあるが、美術分野では一度、見た風景を写真のように再現する山下清画伯もサヴァン症候群だったと言われている。サヴァン(Savant)とは、もともとフランス語で天才・賢人などの意味を持つ。 音楽的サヴァン症候群のほとんどの人は、楽譜を読むことができず、非常に多くの曲を記憶によって演奏するという特徴もあるという。私の力では確定診断には至らないが、症状的には当てはまると考えた。
「私たちは普通の母親が欲しかった」
私は尚子さんに「この分野の専門家ではなく、非常に珍しい症例なので外れているかも知れないですが」と前置きしたうえで、「華絵さんはサヴァン症候群ではないかと思う」と伝え、「発達障害の要素と天才的な要素を持ち合わせているのは間違いない」と説明すると、彼女はとても悲しそうな顔をしてこういった。 「私は普通の家庭を知りませんでした。母に怯えて暮らし、普通の生活を求めて結婚して家を出ました。妹はいま、どうしているかさえわかりません。父がなぜそこまで母に尽くすのかもわかりません。母は津軽三味線の天才なのかもしれませんが、私たちが欲しかったのは普通の母親です。母は好き勝手ができる幸せな人生だったかも知れませんが、父や私たちはある意味、犠牲者のような気がします」 華絵さんは人生の一時期、津軽三味線で輝いた。ギフテッドの特性のある子どもが生まれたとき、親が子どもを支え、尽くす例はいくらでもあると思う。しかし、そういった特性のある親に、子どもたちが尽くした例はあるのだろうか――。 尚子さんのいうとおり、この母のもとに生まれたのは悲劇だったのかも知れない。間違いなく母親を核とした一種の機能不全がこの家族には起きていた。
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