食材は、調理の仕方によって栄養価が全然違う! 栄養を「摂りこぼし」しないコツとは?
近年の栄養学の進歩によって、調理をほんの少し工夫するだけ、より効率的に栄養素が摂れることがわかってきました。 食材は、調理の仕方によって栄養価が全然違う! 栄養を「摂りこぼし」しないコツとは? たとえば、以下のようなことです。 ・ほうれんそうのβカロテンは、油で炒めると体内の吸収率が約2倍 ・牛肉のビタミンB12は、オーブンで焼くとほとんど減少しない ・シジミはマイナス4℃で冷凍すると、オルニチンが最大約8倍になる こうした最新の知見を教えてくれるのは、東京慈恵会医科大学の附属病院栄養部の濱裕宣部長をはじめとする、栄養学のプロたち。 監修した書籍『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)には、いわば調理のライフハックが多数盛り込まれています。 その一部を、実際に調理しながら紹介していきます。メニューは、「豚ニラ炒め」。豚肉、ニラ、玉ねぎ、にんにくを、しょうゆとみりんで炒めたシンプルな料理です。
ビタミンB1やカルノシンが豊富なロース肉
まず、主食材の豚肉から見ていきましょう。 本書によれば、豚肉はお肉のなかでも栄養バランスが高く、特にビタミンB1は牛肉の約10倍。 そして、カルノシンという旨み成分には、「老化防止や酸化ストレスを除去する働きがある」そうです。 ちなみに、今回のメニューで使うのはロース(背肉)ですが、免疫アップ成分であるパントテン酸の含有量が、ほかの部位に比べて1.6倍もあります。 調理法ですが、茹でるよりも、焼いたり、レンジでチンするほうが、ビタミンB群が失われずに済むそうです。 それは、茹でることで煮汁に溶出してしまうためですが、その場合は煮汁も摂ればOK。今回は油炒めなので、溶出の心配はありません。 ビタミンB1の話に戻ります。調理で流出しやすく、加熱に弱く、さらに体内で一度に約10mgしか吸収されない“体内に蓄えにくい”性質があります。 ところが、にんにくやニラに含まれるアリシンという香り成分が、体内でビタミンB1と結びついてアリチアミンになることで、吸収率が5倍以上にアップするそうです。 豚×ニラ×にんにくの炒めものは、ビタミンB1を効率的に摂るという意味では、理に適っているわけです。