【2024年最新・エリア別】アートとグルメを堪能、Penおすすすめの青森旅
青森県立美術館の見どころ1 『かさなりとまじわり』
開催中のメイン企画『かさなりとまじわり』展では、美術館を設計した青木淳氏が提唱した「原っぱ」論を出発点に、展示室のみならずコミュニティギャラリーやワークショップエリア、屋外ヤードなども活用。それぞれの空間を「原っぱ」に見立て、館内外のいたるところでアートを発見・鑑賞・体験できる場を設け、美術館全体に大きな「つらなり」を生み出そうとしている。さらに、美術館を構成する各空間が「かさなり」ながら作品がインストールされることで、青森の自然と人間の「まじわり」、死んだものと生きているものの「まじわり」、現代社会のありようとこれから未来を切り拓いていく人たちとの「まじわり」の諸相を浮かび上がらせる。 なかでも特に重厚な展示が展開されているのが、世界的に活躍し近年鬼籍に入った2人の作家―原口典之と吉田克朗の青森との関連性をベースに、時間と空間の「かさなり」と「まじわり」のインスタレーションを構築したエリアだ。20世紀の美術を牽引した骨太な表現と、混迷する現代を生きる作家のエネルギーが交錯する磁場に圧倒される。
青森県立美術館の見どころ2 美術館のシンボルの屋外彫刻
青森県立美術館を訪れたからには、当館のシンボルである奈良美智の2点の屋外彫刻に詣でることをお薦めしたい。美術館西側の屋外空間に常設された高さ約8.5mの犬の立体作品『あおもり犬』と、美術館南側の敷地にある高さ約6mのブロンズ像『Miss Forest/森の子』は、ともに目を閉じて沈思黙考し、そこに辿り着いた人々の心をも鎮静させてくれる。 7月13日(土)からは『鴻池朋子展 メディシン・インフラ』も開催される。東日本大震災以降、旅をしながら野外の技法を習得し、ときには土木工事や縫いものをメディアに「絵」を描いてきた鴻池。昨年スタートした『メディシン・インフラ(薬の道)』は、鴻池が東北各地を巡り、縁のあった場所に自作を展示保管してもらう長期的なプロジェクトだ。作家自身の身体性のリアリティを拠り所に展開された「場」に観客の身体が晒され、アートの持つ効用がメディシン(薬草)のように豊かに染み渡るはずだ。
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- 【写真】日本を代表する建築家・青木淳による青森県立美術館の建築外観。隣の「三内丸山遺跡」から着想を得て、発掘現場のトレンチ(壕)のように地面を幾何学的に切り込むように設計された。
- 【写真】左:奈良美智『あおもり犬』 奈良の作品世界に通底する哀愁を帯びた犬の立体作品は、複雑な現代社会に生きる人々の共感を呼ぶ。 ©︎Yoshitomo Nara
- 【写真】左:あべ鶏のB・L・Tベーグル¥1,250 右:県産牛のビーフカレー¥1,350
- 【写真】ACACの略称で親しまれる当館へのアプローチ。アーチ型のトンネルは雪が降ちにくく設計されるとともに、くぐり抜ける時に森に埋没するような感覚を味わうことができる。
- 【写真】2階にあるカフェは、ウィーンのカフェを参考にしたクラシカルな雰囲気。1階は、甘精堂本店の和菓子とシュトラウスのスイーツを購入できるショップになっている。