中国がエヌビディアを調査、独禁法違反の疑い-米規制に反撃
(ブルームバーグ): 中国は米エヌビディアに対し、独占禁止法違反の疑いで調査を開始した。米政府が対中制裁を強化する中、人工知能(AI)向け半導体大手の同社を標的に定めている。
9日の政府声明によれば、エヌビディアの最近の慣行や、コンピューターサーバーの情報伝達を高速化する半導体の設計・製造を手がける米メラノックス・テクノロジーズ買収を巡る状況について、国家市場監督管理総局(SAMR)が調査に着手した。
中国当局は2020年にエヌビディアのメラノックス買収を承認したが、エヌビディアが中国企業を差別しないことを条件としていた。
今回の措置は米国が進めるハイテク規制に対する中国の新たな反撃だ。1週間前には中国政府が技術や軍事分野の複数の材料について輸出を禁止した。
一方、AIプログラム向け半導体需要を追い風にエヌビディアの市場価値は今年に入って急増。時価総額で有数の企業となり、テクノロジーを巡る貿易戦争で中国の最大の企業ターゲットとなった。
エヌビディアは発表文で「当社事業について規制当局の質問には喜んで回答する」とコメント。
顧客への価値などに反映されているように「当社は実力に基づく勝利を収めている。顧客は自らに最適なソリューションを選択できる」とした上で、「あらゆる地域で最良の製品を提供できるよう懸命に取り組み、事業を展開するあらゆる場所で約束を守る」と表明した。
同社の最新の財務報告書によると、売上高に占める中国顧客の割合は約15%。
エヌビディアの株価は9日の米株式市場で2.6%下落した。
米政府は中国による先端半導体の開発ペース鈍化を目指しており、エヌビディアが中国企業に最先端半導体を販売することを禁止している。こうした措置は中国政府の強い反発を招き、中国も米企業を標的に据えた。
エヌビディアのメラノックス買収を承認するに当たり、エヌビディアはメラノックスの新製品に関する情報を得てから90日以内に他の競合企業とも共有することを中国当局は義務づけていた。エヌビディアはまた、中国の半導体各社の製品とメラノックスの技術との互換性を確保する機会を設けることにも同意していた。